南大西洋の茫漠たる海原に浮かぶ「世界一遠い島」、それがブーベ島です。周囲2,000km以上陸地のない絶海の孤島で、まさに秘境中の秘境と言える場所です。この記事では、そんなブーベ島についてご紹介します。
ブーベ島ってどんな島?

南大西洋の広大な海原に浮かぶブーベ島は、ノルウェー領の火山島、そして無人島です。ノルウェー語ではブーベトヤ島といいます。海岸沿いにはラルソヤ島とそれ以外の小さな島々、いくつかの岩礁が点在しています(本記事ではそれらも含めて「ブーベ島」と呼んでいます)。
アフリカ大陸の喜望峰から南南西へ約2,500kmに位置し、約1,700km離れた南極大陸が最も近い陸地となります。人が住む場所に限ると、約2,260km離れたトリスタンダクーニャ諸島(世界一孤立した有人島)が最も近い場所となります。まさに「世界で最も遠い孤島」と呼ぶにふさわしい場所です。
島の面積は約50平方キロメートルと、東京都江戸川区とほぼ同じ広さです。その9割以上が氷河で覆われ、最高峰は標高780メートルのオラフ峰。海岸線は波の浸食によって急峻な崖となっており、港湾施設はありません。そのため、上陸はヘリコプターが一般的です。

過酷な自然環境
ブーベ島は、海洋性南極気候に属します。年間を通して気温が低く、強い風が吹いているのが特徴です。
氷河に覆われた島
島の9割以上を占める氷河は、ブーベ島の最も特徴的な景観の一つです。これらの氷河は、数万年前に形成されたと考えられており、現在もゆっくりと動き続けています。
氷河の存在は、島の気候にも大きな影響を与えています。氷河から反射される太陽光は、島の気温を低く保つ要因の一つとなっています。
荒れ狂う風
ブーベ島は、「狂う50度(Furious Fifties)」と呼ばれる強風帯に位置しています。そのため、一年を通して強風が吹き荒れています。
強風は、島の地形にも影響を与えています。島の海岸線は、波の浸食と強風によって削られ、急峻な崖となっています。
年間を通して低い気温
ブーベ島は年間を通して気温が低く、冬の気温は-3℃前後、夏でも2℃前後で、年平均気温は-0.7℃ほどです。
こうして見ると、北海道の冬のほうがよほど寒いように思います。これには海と陸、それぞれの特徴が反映されています。具体的には、海は「熱しにくく冷めにくい」、陸は「熱しやすく冷めやすい」という特徴があります。そのため、海に囲まれた小さなブーベ島は、北海道という広い陸地よりも寒くないのです。
ブーベ島の過酷な自然環境は、独特な生態系を生み出す要因の一つとなっています。
ユニークな生態系
過酷な自然環境にもかかわらず、ブーベ島には独特な生態系が育まれており、様々な動物が生息しています。
ペンギン・海鳥類
ブーベ島は、海鳥の繁殖地として重要であることから、英NGOのバードライフインターナショナルによって重要野鳥生息地に指定されています。
ブーベ島には多くのペンギンが生息しており、重要なペンギンコロニーとなっています。特にマカロニペンギン、ヒゲペンギン、アデリーペンギンが多く生息しているようです。
ペンギン以外にも、カモメ、アホウドリ、ミズナギドリなど、様々な種類の海鳥が多く見られます。
アザラシ・アシカ類
ブーベ島に生息する鳥類以外の脊椎動物はアザラシ・アシカ類のみ。ミナミゾウアザラシとナンキョクオットセイが生息しています。
その他の動植物
上記以外にも、ブーベ島の周辺ではクジラやイルカ、シャチなど様々な海洋生物が見られます。
動物以外の生物は、厳しい気候のためにコケ類や藻類に限られます。
ブーベ島の歴史
ノルウェー領のブーベ島ですが、あまりにもノルウェー本国と離れすぎていると思いませんか?どのようにしてノルウェー領になったのか、歴史をたどっていきましょう。
島の発見
ブーベ島が最初に発見されたのは、1739年のことでした。フランスの探検家ジャン=バティスト・シャルル・ブーヴェ・ド・ロジエ率いる探検隊によって発見されました。「ブーベ島」という名は、のちに彼の名前にちなんで名付けられることになります。
ブーヴェは島の発見当時、詳細な確認をしなかったため、それが島なのか大陸の一部なのか明らかにできませんでした。そのため正確には、発見したのは島そのものではなく島の岬の一部でした。正確な位置も定まらず、その後別の探検隊も続きますが、再発見には至りませんでした。
1808年、イギリスの探検隊が島を発見し位置を記録しますが、上陸はできませんでした。1822年には、アメリカの探検家ベンジャミン・モレルが島に上陸したと主張していますが、その記録の中で氷河について一切触れていなかったため、疑わしいとされています。
領有権の主張
1825年、イギリスのSE&S社が島の上陸に成功し、リバプール島と名付けイギリスの領有を宣言しました。その後もフランスやドイツが探検を試みていますが、領有宣言は行っていません。
1927年、ノルウェーの探検隊がこの島に初めて長期滞在しました。隊員たちは島と海の観察と調査を行い、小屋を建てて過ごしました。そしてノルウェー国旗を掲げ、島はノルウェー領であると宣言します。

イギリスは当然この領有宣言に抗議しますが、両国の交渉の結果、イギリスが領有権を放棄することになりました。
このようにして、ブーベ島はノルウェー領となったのです。
まとめ
南大西洋の果てに浮かぶ「世界一遠い島」、ブーベ島。こんなところを発見して上陸した人がいるなんて、想像しただけでワクワクしちゃいますね。
参考
- Bouvet Island – Wikipedia (English)
- Bouvet Island, the most remote place of the world. – RANDOM TIMES
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