西オーストラリア州の広大なギブソン砂漠に広がる「ディサポイントメント湖(英:Lake Disappointment)」。日本語にすれば「がっかり湖」となりますが、いったい何が「がっかり」なんでしょうか?今回は、このユニークな名前の湖をご紹介します。
ディサポイントメント湖とは?
ディサポイントメント湖は、オーストラリア西部の広大なギブソン砂漠の中央部に位置します。湖から流出する河川がない内陸湖であり、塩湖です。雨季になると水が溜まり、湖面が形成されますが、乾季になると干上がって塩の大地が広がります。その広さは約330平方キロメートルにも及びます。

ディサポイントメント湖には多くの種の水鳥が生息しており、また独特な生態系が築かれています。2007年には新種のトカゲ(通称:レイク・ディサポイントメント・ドラゴン)が発見されました。

非常に価値のある湖だと思いますが、いったいなぜ「がっかり」なのでしょうか。
なぜ「ディサポイントメント」?その名の由来
ディサポイントメント湖という名前は、英語で「失望」や「落胆」を意味する”Disappointment“に由来します。この不名誉な名前の由来は、19世紀後半にこの湖を発見した探検家の経験に遡ります。
当時オーストラリア北東部で牧場を経営していたフランク・ハンは、経営状況の悪化により牧場を手放すことに。新たな生活基盤を求め、政府の資金援助を受けながら西部の探検に出ていきます。北西部の探検中、地域を流れる小川が内陸に向かって流れていることに気が付きました。ハン氏は、その先には大きな淡水湖があるだろうと予想し、小川をたどっていきます。そして辿り着いた先は、なんと干上がった塩の大地。飲料水の確保ができると期待したのに、「がっかり」です。こうしてこの湖は、1897年にハン氏から「ディサポイントメント(がっかり)湖」と名付けられることになったのです。

ハン氏の日記では以下のように書かれているとのこと。
“but ‘found it was all white salt … it is the largest thing in lakes I ever saw … I shall call the lake Lake Disappointment as I was disappointed in not finding water in it.“
しかし、それはすべて白い塩だった……それは私が今まで見た湖の中で最大のものだ……。湖に水が見つからなかったことにがっかりしたので、この湖を「がっかり湖」と呼ぶことにしよう。
相当がっかりした様子が伝わってきます。にしても、あまりにもひどいと思う。
名前はそのままなのか
実はハン氏によって「ディサポイントメント湖」と名付けられる前から、この湖は先住民族によって知られていました。その地域の先住民族マルトゥ族はこの湖を「クンプピンティル湖(Kumpupintil Lake)」と呼んでいたのです。
マルトゥ族にとってこの湖は、水と伝統的な食料の重要な場所であるだけでなく、精神的および儀式的な理由からも重要な場所でした。「クンプピンティル」という名前は、マルトゥ族の戦士たちが巨人と壮絶な戦いを繰り広げたという、マルトゥ族誕生の物語に由来しているようです。このように、先住民にとっては大切な場所にもかかわらず、ハン氏によって不名誉な名前を付けられてしまったのです。
しかし、それからおよそ123年後の2020年、正式に元の名称である「クンプピンティル湖」が復活することになりました。先住民族協会からの改名要請を受け、Landgate(西オーストラリア土地情報局)によって認められたものです。これはきっと先住民族だけでなく、全国民にとっても大変喜ばしい出来事だったに違いありませんね。
まとめ
「ディサポイントメント(がっかり)」という不名誉極まりない名前を付けられてしまった湖ですが、神秘的な景観や貴重な生態系を保ち、先住民族だけでなく人類全体にとっても大切にしていきたい場所です。現在では元々の名称(クンプピンティル湖)に戻っていますが、ある意味ではこの不名誉な名前により注目を集めたとも言えるでしょう。
何かに名前を付けるときは、一時の感情に流されないようにしたいですね。
参考
“Lake Disappointment formally renamed Kumpupintil Lake” – Landgate
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