泳ぎが得意なカメといえば、水中で長い間息継ぎせずにいられるイメージがありますよね。実は、彼らは肺呼吸だけでなく、おしりからも呼吸することができるんです!今回は、そんなカメの意外な生態についてご紹介します。
お尻で呼吸する仕組み
おしりで呼吸できるなんて、不思議ですよね。一体どういう仕組みなのでしょうか。
実は、カメには「総排出腔」と呼ばれる器官があります。これは、肛門、尿道、生殖口が一つになったもので、排泄物だけでなく、水を取り込む役割も担っています。
カメが水中にいるとき、総排出腔から水を取り込み、その水に含まれる酸素を粘膜を通して体内に取り込むのです。この仕組みを「総排出腔呼吸」と呼びます。(※この記事では便宜上「尻呼吸」と呼ぶことにします)
総排出腔呼吸では、肺呼吸のように肺を膨らませたり縮めたりする必要がなく、水中でじっとしているだけでも呼吸することができます。そのため、カメは長い間水中に潜っていられるのです。
しかし、総排出腔呼吸で取り込める酸素量は、肺呼吸に比べてかなり少ないです。そのため、カメは陸上では肺呼吸を行い、水中では総排出腔呼吸を補助的に利用していると考えられています。
尻呼吸ができるのはどんな亀?
尻呼吸ができるのは、すべての亀ではありません。主に水棲カメと海棲カメが、総排出腔呼吸を上手に利用することがわかっています。
水棲カメ
ミドリガメやスッポンなどの水棲カメは、肺呼吸よりも尻呼吸に頼っていることが多いです。これは、水棲カメが水中生活に適応し、長い間水中に潜っていられるよう進化した結果と考えられています。
特に、以下2種のカメは総排出腔呼吸能力が優れています。
ハヤセガメ

ハヤセガメは、オーストラリアに生息する水棲カメで、流れの速い川でも生息できるほど水中に適応しています。総排出腔呼吸によって必要な酸素の最大70%を摂取することができます。
カクレガメ

カクレガメは、ニューギニア島に生息する水棲カメで、ほとんど陸に上がらず水中で生活しています。総排出腔呼吸によって、3日間水中にとどまることができます。
海棲カメ
ウミガメも、ある程度は尻呼吸をすることができます。しかし、水棲カメほどではなく、肺呼吸が主な呼吸法です。これは、海棲カメは陸上にも上がってくるため、肺呼吸を維持する必要性があるからだと考えられています。
このように、尻呼吸ができるカメは、主に水中生活に適応した種類です。彼らは、総排出腔呼吸というユニークな仕組みを利用して、水中での長い潜水時間を可能にしているのです。
尻呼吸のメリットとデメリット
尻呼吸は、カメにとってどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリット
水中で長い間潜っていられる
前述の通り、尻呼吸は肺呼吸に比べて酸素摂取量が少なく、短時間しか潜っていられないというデメリットがあります。しかし、肺呼吸と併用することで、陸上では肺呼吸、水中では尻呼吸というように、状況に合わせて呼吸法を切り替えることができ、より長い間水中で過ごすことができます。特に、水中に餌や隠れ場所があるカメにとっては、長い潜水時間は生存に有利に働きます。
水面に出ることなく呼吸できる
流れの速い場所や捕食者が潜んでいる場所など、水面に出ることが危険な場合でも、尻呼吸であれば安全に呼吸することができます。これは、水棲カメにとって大きなメリットです。
エネルギーを節約できる
水中で肺呼吸をするためには、まず水面に浮上する必要があります。水面への浮上にはエネルギーが必要なので、尻呼吸ができることはエネルギーの節約につながります。
デメリット
肺呼吸に比べて酸素摂取量がが少ない
前述の通り、ほとんどの種で尻呼吸から取り込める酸素量は肺呼吸に比べてかなり少ないです。そのため、活動量が多い時や酸素濃度が低い水中では、尻呼吸だけでは十分な酸素を摂取することができません。
このように、尻呼吸にはメリットとデメリットの両方があります。カメは、これらのメリットとデメリットを天秤にかけ、状況に合わせて肺呼吸と使い分けています。
進化の過程で生まれた尻呼吸
尻呼吸は、カメが水中生活に適応する過程で生まれたと考えられています。
もともとカメは、陸上生活を送る爬虫類でした。しかし、長い時間をかけて水中生活に適応していく中で、肺呼吸だけでは十分な酸素を摂取できなくなりました。そこで、カメは総排出腔を利用して水から酸素を摂取する、尻呼吸という新たな呼吸法を獲得したのです。
尻呼吸は、カメが水中での生存戦略として重要な役割を果たしています。もし尻呼吸がなければ、カメは水中で長い間潜っていられず、現在の姿とは大きく異なっていた可能性があります。
このように、尻呼吸はカメの進化の過程において、重要な役割を果たしたと言えるでしょう。
まだまだ謎が多い尻呼吸
尻呼吸は、近年になってようやくその仕組みが解明されつつある、比較的新しい研究分野です。そのため、まだまだ多くの謎が残されています。
例えば、
- すべてのカメが尻呼吸を同じように利用しているのか?
- 尻呼吸の能力は、個体差や種によってどれくらい異なるのか?
- 尻呼吸は、水温や水質などの環境変化によって影響を受けるのか?
- 尻呼吸は、カメの健康状態にどのような影響を与えるのか?
など、様々な疑問点があります。
今後、さらなる研究によって、尻呼吸の仕組みや役割について、より詳しく解明されていくことが期待されます。
まとめ
今回の記事では、カメの尻呼吸について紹介しました。カメの意外な生態を知ることができたでしょうか?水辺でカメを見かけたら、おしりに注目しちゃうかもしれませんね。
参考
亀はおしりでも息をする – 株式会社バイオーム
https://biome.co.jp/biome_blog_303/
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