前回の「慣用句編」に続き、今回は「名言編」です。
名言は、ことわざや慣用句とは少し違います。
誰かが「いつ、どんな状況で言ったか」という背景があってこそ、言葉の重みが増すものです。
このシリーズでは「ことわざ」「慣用句」「名言」に分けて、クイズ形式でひとつずつ紹介していきます。
今回は第3回、「名言」編です。
名言編のクイズは少し特別です。
名言の意味を答えるだけでなく、「これは誰の言葉か」も一緒に考えてみてください。ヒントを見てすぐ答えがわかるようなものではなく、ちゃんと頭をひねってから答えにたどり着けるレベルにしてあります。
それでは、5つの名言に挑戦してみましょう。
- “The only way to do great work is to love what you do.”
- “Imagination is more important than knowledge.”
- “Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration.”
- “The future belongs to those who believe in the beauty of their dreams.”
- “Success is not final, failure is not fatal: it is the courage to continue that counts.”
- まとめ
“The only way to do great work is to love what you do.”
まずは1問目。
就職活動や進路に悩む若者たちに向けて、ある人物が講演の中でこう語りかけました。
“The only way to do great work is to love what you do.”
さて、この言葉を残したのは誰で、どんな意味でしょうか。
ヒント
この人物は20世紀後半〜21世紀初頭に活躍したアメリカの実業家で、若い頃に自分が立ち上げた会社から一度追い出されながらも、復帰後にその会社を世界有数の企業へと成長させました。私たちの生活に欠かせないスマートフォンやパソコンを生み出した人物として知られています。
この言葉は2005年、アメリカの名門大学の卒業式スピーチで語られました。
解答
スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)の言葉です。
意味は「素晴らしい仕事をする唯一の方法は、自分のやることを愛することだ」。
解説
Apple社の共同創業者であるスティーブ・ジョブズが、スタンフォード大学の卒業式でおこなったスピーチの一節です。このスピーチは “Stay hungry, stay foolish.” という締めの言葉でも有名で、今もなお世界中で語り継がれています。
“the only way to do A is to do B”(AをするためのただひとつのことはBすることだ)という構文は、入試でも出題されやすい強調表現です。
また “great work” “love what you do” といった抽象的な概念を平易な英語で表現しているのも、この名言の大きな特徴です。
💡受験生向け一言メモ
“the only way to 〜 is to …” の構文は、意見論述型の英作文の結論文として非常に使い勝手が良いです。「〇〇の唯一の方法は〇〇だ」という言い切りのスタイルは、採点者に強い印象を残します。
使用例
A: I’ve been offered a stable job with a high salary, but I’m not really passionate about it. What should I do?
B: Think about what Jobs said — “The only way to do great work is to love what you do.“
A: 給料が高くて安定した仕事のオファーをもらったんだけど、あまり情熱が持てなくて。どうすればいい?
B: ジョブズが言ったことを考えてみて。「素晴らしい仕事をする唯一の方法は、自分のやることを愛することだ」ってね。
「好きなことを仕事に」というのは理想論と言われることもありますが、この言葉には自分の道を信じて突き進んだ人間の重みがありますね。
“Imagination is more important than knowledge.”
2問目です。
20世紀最高の科学者とも称されるある人物が、学問や知識の本質についてこんな言葉を残しました。
“Imagination is more important than knowledge.”
さて、これは誰の言葉で、どんな意味でしょうか。
ヒント
この人物は20世紀前半に活躍したドイツ生まれの物理学者で、「相対性理論」を提唱したことで知られています。
ノーベル物理学賞を受賞しており、”E = mc²” という公式の生みの親でもあります。その独特なぼさぼさ頭の外見でも有名ですね。
解答
アルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)の言葉です。
意味は「想像力は知識よりも重要だ」。
解説
知識の重要性は誰もが認めるところですが、アインシュタインはあえて「想像力のほうが上だ」と言い切りました。この言葉には続きがあります。”Knowledge is limited. Imagination encircles the world.”(知識には限界があるが、想像力は世界を包み込む)。これを踏まえると、「知識を超える力がある」という含意がより鮮明になります。
物理学者として当時最高峰の「知識」を持っていた人物が、それでも「想像力のほうが上だ」と言ったところに、この名言の重みがあります。アインシュタインが相対性理論を構想したとき、実験ではなく「光と一緒に走ったら何が見えるだろう」という純粋な思考実験(Gedankenexperiment)から出発したのは有名な話で、この言葉は彼自身の経験に根ざした実感なのかもしれません。
💡受験生向け一言メモ
「より大切なもの」を論じる英作文テーマは頻出です。”Imagination is more important than knowledge.” を引用したうえで自分の意見を展開すると、具体的な根拠として機能し、説得力のある文章になり、かっこいい文になりそうです。
使用例
As Einstein once said, “Imagination is more important than knowledge.” No matter how much information we memorize, it is our ability to think creatively that allows us to apply that knowledge in meaningful ways.
アインシュタインがかつて言ったように、「想像力は知識よりも重要だ」。どれだけ多くの情報を暗記しても、それを意味のある形で活かせるのは、創造的に考える力があってこそだ。
単に引用として使うだけでなく、”As 〜 once said, …” という形で名言を文章に組み込むパターンも英作文の定番です。覚えておくと便利ですよ。
“Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration.”
3問目です。少し長い名言です。
「天才とは生まれつきのもの」と思っている人に、発明家として数々の偉業を成し遂げたある人物がこう反論しました。
“Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration.”
誰の言葉で、どんな意味でしょうか。
ヒント
この人物は19世紀後半〜20世紀初頭のアメリカの発明家です。電球・蓄音機・映写機など、現代文明の基礎となる発明を1,000以上残したとされています。
“inspiration”(ひらめき)と “perspiration”(汗)、この2つの単語の末尾が同じ音で終わっていることに注目してみてください。
解答
トーマス・エジソン(Thomas Edison)の言葉です。
意味は「天才とは1%のひらめきと99%の汗(努力)でできている」。
解説
直訳すると「天才とは1%のインスピレーションと99%の発汗である」。ここでの “perspiration”(発汗・汗をかくこと)は「懸命な努力・地道な作業」の比喩です。天才と聞くと才能や閃きを想像しがちですが、エジソン自身が「99%は努力だ」と断言しているところに、彼の仕事への向き合い方が表れています。
“inspiration” と “perspiration” が同じ “-spiration” という音で韻を踏んでいる点も、この名言が記憶に残りやすい理由のひとつです。英語では意味だけでなく、こうした音の面白さを意識した表現が多く見られます。
💡受験生向け一言メモ
“effort” “hard work” “perseverance”(忍耐・粘り強さ)といった努力系の語彙と一緒に覚えておくと、英作文で「努力の大切さ」を論じる際に非常に役立ちます。このエジソンの名言は引用としてそのまま使える強力なカードです。
使用例
Edison’s famous words — “Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration” — remind us that even the most extraordinary achievements are built on countless hours of effort, not just a flash of brilliance.
エジソンの有名な言葉「天才とは1%のひらめきと99%の努力だ」は、どんな偉大な成果も、瞬間的な閃きだけでなく、無数の時間をかけた積み重ねの上に成り立っているということを思い起こさせてくれる。
「才能がある人にはかなわない」と感じる瞬間は誰にもあります。でも、1,000以上の発明をした人物がこの言葉を残したという事実は、なかなか説得力がありますね。
“The future belongs to those who believe in the beauty of their dreams.”
4問目です。
20世紀に活躍したある女性が、困難な時代を生き抜きながら次世代の若者たちに向けてこんな言葉を贈りました。
“The future belongs to those who believe in the beauty of their dreams.”
さて、誰の言葉で、どんな意味でしょうか。
ヒント
この人物は20世紀前半のアメリカの女性で、大統領夫人を務めた後も独自の社会活動家・外交官として活躍しました。女性の権利や人種差別撤廃のために尽力し、国連の世界人権宣言の起草にも深く関わった人物です。
解答
エレノア・ルーズベルト(Eleanor Roosevelt)の言葉です。
意味は「未来は、自分の夢の美しさを信じる者のものだ」。
解説
“belong to 〜”(〜のものである)という表現を使って、「未来は夢を信じる人に約束されている」というメッセージを力強く表現しています。”those who 〜”(〜する人たち)という関係代名詞を使った構文も、英作文で「〜する人は…だ」という一般論を述べる際に非常に便利な形です。
エレノア・ルーズベルトは第32代アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトの妻ですが、夫の死後も長きにわたって社会正義のために活動し、「世界の良心」とも呼ばれました。彼女の言葉には、長い苦労の末につかんだ確信の重みがあります。
💡受験生向け一言メモ
“belong to” は「〜に属する」という基本表現ですが、こうした名言の形で覚えると、抽象的な主語(”the future” など)と組み合わせた応用表現として使いこなしやすくなります。英作文の締めくくり文として引用すると、格調のある文章になります。
使用例
A: I want to be a doctor someday, but everyone says it’s too hard for me.
B: Don’t listen to them. The future belongs to those who believe in the beauty of their dreams.
A: いつか医者になりたいけど、みんなに「無理だ」って言われるんだよね。
B: そんな声は聞かなくていいよ。未来は夢の美しさを信じる人のものだから。
周りの否定的な声に揺らいでしまうことは誰にでもあります。そんなとき、この言葉を思い出してみてください。
“Success is not final, failure is not fatal: it is the courage to continue that counts.”
最後の5問目です。
第二次世界大戦中、絶望的な状況の中でも国民を鼓舞し続けたある政治家が、こんな言葉を残しました。
“Success is not final, failure is not fatal: it is the courage to continue that counts.”
誰の言葉で、どんな意味でしょうか。
ヒント
この人物は20世紀のイギリスの政治家で、第二次世界大戦中に首相を務めた人物です。ナチス・ドイツに対して徹底抗戦を主張し、演説の力で国民を一致団結させたことで知られています。葉巻とステッキを持つ姿がトレードマークです。
“fatal”(致命的な)と “final”(最終的な)が対比されている点に注目してみてください。
解答
ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)の言葉です。
意味は「成功は終わりではなく、失敗は致命的でもない。重要なのは、続ける勇気だ」。
解説
“final”(最終的な・これで終わり)と “fatal”(致命的な・取り返しがつかない)という、似た響きを持ちながら意味の異なる2つの形容詞を対比させているのが巧みな構造です。「成功しても慢心するな、失敗しても諦めるな、大切なのは続けることだ」というメッセージを、簡潔かつリズム良くまとめています。
“it is 〜 that …” の形は強調構文です。”it is the courage to continue that counts.”(重要なのは続ける勇気だ)という形で、”the courage to continue” が強調されています。強調構文は受験の文法問題でも頻出なので、こうした名言で実際の使用例を確認しておくと記憶に定着しやすいです。
💡受験生向け一言メモ
強調構文 “It is A that B.” は「BするのはAだ」と A を強調する構文です。入試の整序問題・文法問題の定番として必ず押さえておきたい構文で、この名言はそのまま良い例文になります。
使用例
A: I failed the exam again. I’m starting to think I should just give up.
B: Remember Churchill — success is not final, failure is not fatal. It’s the courage to continue that counts.
A: またテストに落ちちゃった。もう諦めようかなって思い始めてる。
B: チャーチルの言葉を思い出して。成功は終わりじゃないし、失敗も致命的じゃない。大切なのは続ける勇気だよ。
戦時中という極限状態で生まれたこの言葉には、単なる励ましを超えた力があります。受験勉強に行き詰まったとき、ふと思い出してみてください。
まとめ
今回紹介した5つの名言を、もう一度おさらいしておきましょう。
- “The only way to do great work is to love what you do.(素晴らしい仕事をする唯一の方法は、自分のやることを愛することだ)” — Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)
- “Imagination is more important than knowledge.(想像力は知識よりも重要だ)” — Albert Einstein(アルベルト・アインシュタイン)
- “Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration.(天才とは1%のひらめきと99%の努力だ)” — Thomas Edison(トーマス・エジソン)
- “The future belongs to those who believe in the beauty of their dreams.(未来は夢の美しさを信じる者のものだ)” — Eleanor Roosevelt(エレノア・ルーズベルト)
- “Success is not final, failure is not fatal: it is the courage to continue that counts.(成功は終わりではなく、失敗は致命的でもない。重要なのは、続ける勇気だ)” — Winston Churchill(ウィンストン・チャーチル)
名言は意味を知るだけでなく、誰がどんな状況で言ったかを知ることで、言葉の重みがまったく変わってきます。英作文の結論部分に一言添えるだけで、文章に深みが出ますよ。
次回もお楽しみに。

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