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【ゼロから掴む英文法】第23講:原形不定詞(to の消える使役・知覚動詞と、to が復活する受動態)

英文法解説
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前回は、動詞や形容詞を飾って「目的」や「結果」などを表す「第22講:不定詞の副詞的用法」を学びました。
今回は、不定詞の中でも、大学受験の4択・整序・英作文において、ひっかけ問題が作りやすく毎年多くの受験生が涙をのむ「原形不定詞」を完全攻略しましょう!

学校の授業で、使役動詞(make, let, have)や知覚動詞(see, hear)の後ろには to をつけずに動詞の原形を置く、と暗記させられませんでしたか?
これらを「原形不定詞」と呼びます。

「なぜ、to をつけてはいけないの?」
「なぜ、受動態になると急に to が復活するの?」

こうした疑問のすべてに、英語の設計図と言葉のコアイメージから、暗記なしでスッキリと納得のいく答えを提示します。
ここを突破すれば、不定詞の難所はすべてクリアです。今日もロジックでスッキリ理解していきましょう!

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原形不定詞とは?:なぜ「to」が消えてしまうのか

原形不定詞とは、一言でいうと「to のつかない不定詞(動詞の原形のまま使う不定詞)」のことです。

不定詞は、動詞を別の品詞(名詞、形容詞、副詞)にワープさせつつ、動詞としてのパワー(時制など)をリセットするために「原形」にし、手前に「to」の看板を立てるのが基本ルールでした。
しかし、特定の動詞と一緒に使われるときだけ、この to の看板が綺麗に消え去ってしまいます

なぜ to を書いてはいけないのでしょうか。

第16講第19講でも学んだ通り、to の本質は「右向きの矢印(これから先のこと、未来)」でしたね。 話し手が to を使うとき、そこには「これからその動作に向かっていく」という、時間的なギャップ(隙間)が生まれます。

一方、今回の原形不定詞を引き寄せる動詞(使役動詞や知覚動詞)の性質をよく考えてみてください。

  • 使役(〜させる):命令を下して、その場で相手にアクションを行わせる。
  • 知覚(〜するのを見る、聞く):相手がアクションを行っている、その生々しい現場をダイレクトに感じる。

どちらの動詞も、メインの動詞(させる、見る)が起こるタイミングと、後ろのアクション(する)が起こるタイミングの間に、時間的なギャップ(隙間)が全くありません
今この瞬間に、直接、同時に起こっていること」なのです。

未来へ向かう矢印である「to」を挟む余地がないほど、2つの動作の間の時間がぴったりと密着している(時間の隙間がゼロである)ため、to が消えて原形不定詞になるのです。

この「時間の隙間ゼロ」のコアイメージを持っておくと、この先で学ぶルールがすべて当たり前のように納得できるようになります。

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2つの代表的な動詞グループ

原形不定詞を後ろに伴う動詞は、次の2つのグループだけです。それぞれの使われ方とニュアンスを整理しましょう。

グループ①:使役動詞(O に〜させる)

目的語(O)に対して、何かのアクションを「させる」という動詞です。
代表的な3つの動詞は、相手に与える「強制力(プレッシャー)」の強さによって、次のように使い分けられます。

【型】
<使役動詞 + O + 動詞の原形>

  • make O do
    強制(無理やり〜させる)
    → Oの意志に関係なく、100パーセント力ずくでやらせる強いイメージです。
  • let O do
    許可・容認(〜させてあげる、やりたいようにさせる)
    → Oがやりたがっていることを、邪魔する壁を取り除いて(letして)自由にやらせてあげるイメージです。
  • have O do
    義務・仕事(当然のこととして〜してもらう、させる)
    → お金を払ってプロに頼んだり、自分の部下や医者などに「当然やるべき仕事」として頼んでやってもらうイメージです。

【例文】 My mother made me clean my room. (母は私に無理やり部屋を掃除させた)

掃除をさせる(made)瞬間と、私が掃除をする(clean)瞬間の間に、時間的な隙間はありません。お母さんの怒りのプレッシャーのもとで、その場でダイレクトに掃除をさせられているため、to のない原形不定詞になります。

グループ②:知覚動詞(O が〜するのを見る、聞く、感じる)

五感(目、耳、皮膚など)を使って、Oが何かを行っている現場をダイレクトにキャッチする動詞です。

【型】
<知覚動詞 + O + 動詞の原形>

  • see O do(Oが〜するのを見る)
  • hear O do(Oが〜するのを聞く)
  • feel O do(Oが〜するのを感じる)

【例文】 I saw him cross the street. (私は彼が通りを渡るのを見た)

彼が通りを渡っている、その現場をダイレクトに「見た(saw)」のです。見る行為と渡る行為は同時に起こっており、時間の隙間はゼロなので、to のない原形不定詞(cross)になります。

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【大学受験頻出】受動態になると「to」が復活する!

使役動詞や知覚動詞を用いた文を受動態(〜される)に書き換えるとき、英語のルールの中で最も美しく、そして最もひっかけ問題になりやすい現象が起こります。

それは、「能動態では消えていた to が、受動態になると突然復活する」というルールです。

実際に、能動態から受動態へのカメラワークの切り替えを行ってみましょう。

【能動態(原形不定詞)】
My boss made him work late. (ボスは彼を無理やり遅くまで働かせた)

↑ him と work の間に to はありません。

【受動態】
He was made to work late by his boss. (彼はボスによって遅くまで働かされた)

なんと、消えていたはずの to が、was made の後ろにしっかりと復活しています。
なぜ受動態になると、わざわざ to を書かなければならないのでしょうか。

それは、受動態にすることで、使役動詞(was made)と原形不定詞(work)が直接並んでしまうからです。

もし to を復活させずに書いてしまうと、 He was made work … という形になります。
これだと、be動詞(was)、一般動詞(made)、さらにもう1つの動詞(work)という「動詞のそっくりさん」が一箇所にぎゅっと集まってしまい、どこまでが文の心臓(V)なのか、構造が完全に壊れて見えなくなってしまいます。

そこで、英語を話す人々は看板を立て直しました。
「動詞が直接ぶつかって文の構造が壊れるのを防ぐために、ここから先は別のアクションのカタマリですよ!と区切る看板(to)を復活させよう!」

こうして、受動態のときだけ to が元の位置に復活するのです。この復活ルールは、整序(並べ替え)問題や正誤判定問題の標的になります。
使役・知覚の受動態は、to が復活する!」と、構造の理由と合わせて頭に叩き込んでおきましょう。

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【実戦確認テスト】原形不定詞を完全に制覇せよ!

学んだルールと「時間の隙間ゼロ」のコアイメージを使って、次の3問に挑戦してみましょう。

【第1問】

次の(  )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
The teacher let the students (  ) home early after the test.
(A) go (B) to go (C) going

【解答】(A)

【解説】
「先生はテストの後、生徒たちを早く帰らせてあげた(帰るのを許可した)」という意味の文です。
動詞の let に注目しましょう。 let は、<let + O + 動詞の原形>(Oに〜させてあげる)という、許可・容認を表す使役動詞です。
時間の隙間ゼロのコアイメージから、to のない原形不定詞を選ぶ必要があります。
したがって、動詞の原形である (A) go が正解になります。

【第2問】

次の(  )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
I heard someone (  ) my name in the crowd yesterday.
(A) to call (B) call (C) called

【解答】(B)

【解説】
「私は昨日、人混みの中で誰かが私の名前を呼ぶのを聞いた」という意味の文です。
動詞の heard に注目します。 heard は、<heard + O + 動詞の原形>(Oが〜するのを聞く)という、知覚動詞です。
誰かが名前を呼ぶ、その生々しい現場をダイレクトに耳でキャッチしているため、時間の隙間を表す to は不要になります。
したがって、原形不定詞である (B) call が正解になります。

昨日のこと(yesterday)なので過去の話ですが、heard という本物の動詞(心臓)ですでに過去の時制を受け持っているため、後ろの不定詞は形を変化させない「原形(call)」のままにするのがルールです。

【第3問】

次の(  )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
She was seen (  ) the building alone.
(A) enter (B) to enter (C) entered

【解答】(B)

【解説】
「彼女は1人でその建物に入るのを目撃された」という意味の文です。
文の骨組みを確認します。 was seen(目撃された)という、知覚動詞(see)の「受動態」の形になっています。能動態(I saw her enter the building.)のときは、to のない原形不定詞(enter)が使われますが、受動態になると、動詞の衝突を防ぐために区切りの看板である to が復活します。
したがって、to が復活した不定詞である (B) to enter が正解になります。

受験英語で非常に失点しやすい定番のひっかけ問題ですが、受動態の構造から考えれば一瞬で見抜くことができますね。

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今回のまとめ

  • 原形不定詞:to のつかない、動詞の原形の形をした不定詞のこと。
  • to が消える理由:使役動詞や知覚動詞は、2つの動作の間に「時間の隙間がゼロ」であるため、未来へ向かう矢印である to を挟む必要がないから。
  • 使役動詞の3大グループ:make(強制)、let(許可・容認)、have(義務・仕事)。<使役動詞 + O + 動詞の原形>の形を取る。
  • 知覚動詞グループ:see, hear, feel など。<知覚動詞 + O + 動詞の原形>の形を取る。
  • 受動態の to 復活ルール:使役・知覚動詞が受動態(be made / be seen など)になると、動詞の直接の衝突を防ぐ区切りとして、消えていた to が直後に復活する。

お疲れ様でした!
丸暗記のルールだらけに見えた「原形不定詞」も、言葉の持つ時間の感覚と、文の衝突を防ぐ英語の設計図から、すっきりと納得して自分のものにできたのではないでしょうか。

次回は、不定詞の少し特殊な応用形である「第24講:疑問詞+不定詞、be to 不定詞」へと進みます。
「疑問詞 + to」が作る名詞のカタマリの魔法や、学校の授業でみんながパニックになる「be to 不定詞の5つの意味」を、たった1つの本質的なイメージから一撃で攻略する方法を分かりやすく解き明かします。どうぞお楽しみに!

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