前回は、不定詞の動作を「誰がやるのか」をハッキリ指し示す「第18講:不定詞の意味上の主語(for や of)」を学びました。
今回は、その「動作の主役」という視点をさらに進化させて、大学受験の文法問題や和訳・英作文において、一瞬も油断できない超・最頻出テーマである<S + V + O + to do>の構文を完全攻略しましょう!
学校の授業で、tell A to do(Aに〜するように言う)や allow A to do(Aが〜するのを許す)などの熟語をたくさん暗記させられた記憶はありませんか?
これらは、個別の暗記ものとしてバラバラに覚える必要はまったくありません。
第3講で学んだ「第5文型(SVOC)」の設計図と、第18講の「意味上の主語」のロジックを組み合わせるだけで、すべての動詞が美しく一本の糸で繋がります。言葉の仕組みから、スッキリ納得していきましょう!
構文の設計図:O と to do の間に潜む「主述の関係」
まずは、この構文がどのような形をしていて、頭の中でどう訳せばいいのか、設計図を確認しましょう。
【型】
<S + V + O + to + 動詞の原形>
この文型の最大の特徴は、目的語である「O」と、後ろに続く「to do」の間に、次のような強固な絆が成り立っていることです。
【絆(ロジック)】
「O(目的語)」が「to do(不定詞)」の「主語(動作の主人公)」になる!
つまり、ネイティブスピーカーの頭の中では、「O(主人公)が、to do(アクション)する」 という、小さな「主語 + 動詞(S’ + V’)の関係」が成り立っています。
次の例文を見てみましょう。
【例文1】 My mother told me to clean my room. (母は私に部屋を掃除するように言った)
この文では、told(動詞)の直後に me(O)があり、その後に to clean(to 不定詞)が続いています。
部屋を掃除する(clean)というアクションを行う主人公は、主語の My mother ではありませんね。目的語である「me(私)」です。
「私(O)が、部屋を掃除する(to do)」という主述の関係(S’ + V’)が、美しく成り立っています。
このように、<S + V + O + to do>の文を見かけたら、「O(主語)が、to do(動詞)する」 という矢印を頭の中で繋げることが、この構文を正しく読み解くための最大のカギになります。
なぜ「to」が必要なの?:to の本質は「未来への働きかけ」
ここで、少し鋭い疑問を持ってみましょう。
「なぜ、動詞の原形をそのまま置かずに、わざわざ to をつけるの?」
この疑問に対する答えも、to のコアイメージである「右向きの矢印(これから先のこと)」にあります。
この構文で使われる動詞(言う、頼む、許す、強制する、望むなど)をよく考えてみてください。
これらはすべて、「相手(O)に対して、これから先(未来)にその動作をやってほしい、やりなさい」と心や言葉で働きかける動詞ばかりです。
まだやっていない「これから先(未来)のアクション」を相手に求めて矢印を伸ばすため、未来のイメージを持つ「to」が不可欠になるのです。
入試超頻出!絶対に覚えるべき4つの動詞グループ
この構文を取る動詞は、入試の4択問題や英作文で狙われやすいポイントです。
意味ごとに4つのグループに整理して頭に叩き込みましょう!
グループ①:伝達・説得(言葉で相手に働きかける)
- tell A to do(Aに〜するように言う)
- ask A to do(Aに〜するように頼む)
- advise A to do(Aに〜するようにアドバイスする)
- persuade A to do(Aを説得して〜させる)
【例文】The doctor advised him to stop smoking. (医者は彼にタバコをやめるようにアドバイスした)
彼(O)が、タバコをやめる(to do)という主述関係です。
グループ②:許可・可能(相手が行動するのを後押しする)
- allow A to do(Aが〜するのを許す、可能にする)
- permit A to do(Aが〜するのを許す)
- enable A to do(Aが〜するのを可能にする)
【例文】 The internet enables us to get information instantly. (インターネットは、私たちが即座に情報を手に入れることを可能にする)
私たち(O)が、情報を手に入れる(to do)という主述関係です。
グループ③:強制・引き金(相手に無理やり行動させる、促す)
- force A to do(Aに無理やり〜させる)
- compel A to do(Aに無理やり〜させる)
- cause A to do(Aが〜する原因となる)
- encourage A to do(Aが〜するのを励ます、促す)
【例文】 The bad weather forced them to cancel the trip. (悪天候のせいで、彼らは旅行を中止せざるを得なかった[無理やり中止させられた])
彼ら(O)が、旅行を中止する(to do)という主述関係です。
グループ④:期待・欲求(相手が行動することを強く望む)
- want A to do(Aに〜してほしい)
- expect A to do(Aが〜するのを期待する、予期する)
- wish A to do(Aに〜してほしいと願う)
【例文】 I want you to help me with this work. (あなたにこの仕事を手伝ってほしい)
あなた(O)が、手伝う(to do)という主述関係です。
【実戦確認テスト】O + to do の語法をマスターせよ!
学んだ設計図と動詞のグループ分けを使って、次の3問に挑戦してみましょう。
【第1問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
The smartphone allows us ( ) with anyone in the world instantly.
(A) communicate
(B) to communicate
(C) communicating
【解答】(B)
【解説】
「スマートフォンは、私たちが世界中の誰とでも即座に連絡を取ることを可能にする」という意味の文です。
動詞の allow に注目しましょう。 allow は、<allow + A + to + 動詞の原形>(Aが〜するのを許す、可能にする)という語法を持つ代表的な動詞です。「私たち(us)が、連絡を取る(communicateする)」という、O と to do の主述関係を作る必要があります。
したがって、to 不定詞を用いた (B) to communicate が正解になります。
【第2問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
The heavy snow forced them ( ) their trip yesterday.
(A) cancel
(B) to cancel
(C) canceling
【解答】(B)
【解説】
「大雪のせいで、彼らは昨日、旅行を中止せざるを得なかった(大雪が、彼らに無理やり旅行を中止させた)」という意味の文です。
動詞の force に注目しましょう。 force は、<force + O + to + 動詞の原形>(Oに無理やり〜させる)という、強制・引き金グループの重要動詞です。「彼ら(them)が、中止する(cancelする)」という、O と to do の主述関係を作る必要があります。
したがって、to 不定詞を用いた (B) to cancel が正解になります。
【第3問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
They persuaded her ( ) the job offer.
(A) accept
(B) accepting
(C) to accept
【解答】(C)
【解説】
「彼らは彼女を説得して、仕事のオファーを受け入れさせた」という意味の文です。
動詞の persuade に注目します。 persuade は、<persuade + A + to + 動詞の原形>(Aを説得して〜させる)という、伝達・説得グループの重要動詞です。「彼女(her)が、受け入れる(acceptする)」という主述の関係を作るために、to 不定詞を用いるのが適切です。
したがって、(C) to accept が正解になります。
今回のまとめ
- <S + V + O + to do>の構文:目的語である「O」と「to do」の間に、「O が to do する」という主述関係(S’ + V’ の関係)が成り立つ。
- to を使う理由:動詞がすべて相手(O)に対して「これから先(未来)に〜してほしい、やりなさい」と働きかける動詞だから、未来の矢印である to が選ばれる。
- 最重要の4大動詞グループ:伝達・説得(tell, ask, advise)、許可・可能(allow, enable)、強制・引き金(force, cause)、期待・欲求(want, expect)をグループごとに頭に入れる。
お疲れ様でした!
ただの暗記熟語に見えた tell A to do や allow A to do が、O と to do の主述関係という共通のロジックからすべて綺麗に繋がったのではないでしょうか。
次回は、不定詞の表現方法をさらに広げる重要な形変化「第20講:不定詞の否定/受身/完了形(3つのスパイスで表現を広げる)」をお届けします。どうぞお楽しみに!
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