前回の「ことわざ編」に続き、今回は「慣用句編」です。
慣用句は、ことわざのような「教訓」というよりも、日常会話でとにかく頻繁に使われる「決まり文句」です。直訳すると意味が分からないものも多く、知らないと会話文や長文でつまずきやすいポイントでもあります。
このシリーズでは「ことわざ」「慣用句」「名言」に分けて、クイズ形式でひとつずつ紹介していきます。
今回は第2回、「慣用句」編です。
ヒントを見てすぐ答えがわかるようなものではなく、ちゃんと考えてから答えにたどり着けるレベルにしてあるので、ぜひ頭の中で予想を立ててから答えを見てください。
それでは、5つの表現に挑戦してみましょう。
break the ice
まずは1問目。
緊張の入学直後。誰かが面白い自己紹介ゲームを始めて、一気に空気が和みました。この状況を表すのが、
break the ice
どんな意味でしょう。少し簡単かもしれませんね。
ヒント
“ice” は「氷」。直訳すると「氷を割る」です。
冷たく固まった空気を、氷をパキッと割るようなイメージで考えてみてください。日本語でもカタカナのまま使われることがある表現です。
解答
「緊張をやわらげる」「初対面のぎこちない空気を解消する」という意味です。
解説
冷たく張った氷のような空気を割って和ませることから生まれた表現です。日本語でも「アイスブレイク」というカタカナ語がそのまま定着していますが、これはこの英語表現が直接日本語に取り込まれた珍しい例です。
💡受験生向け一言メモ
名詞形の “an icebreaker” は「(会議や授業の冒頭で行う)緊張をほぐすための活動・自己紹介ゲーム」という意味で使われます。長文の冒頭やEメール問題の導入部分にもよく出てくるので、動詞・名詞の両方の形で覚えておくとお得です。
使用例
A: Everyone looked so nervous at the start of the camp.
B: Yeah, but that name game really broke the ice.
A: キャンプの最初、みんなすごく緊張してたね。
B: うん、でもあのネームゲームで一気に空気が和んだよね。
初対面の気まずさは誰にとっても同じです。ちょっとした工夫で空気を変えられるという、人間関係の知恵が詰まった表現ですね。
hit the books
2問目です。
明日は大事なテストなのに、友達は全く勉強していないと言って焦っています。あなたはこう声をかけました。
You’d better hit the books tonight.
どんな意味でしょうか。
ヒント
“hit” は「打つ・たたく」が基本の意味ですが、ここでの対象は “books”(本)です。本をたたく、というよりも、何かに勢いよく取りかかる様子をイメージしてみてください。
解答
「(本気で)勉強する」という意味です。
解説
“hit” には口語表現で「(ある活動に)本格的に取り組む」というニュアンスがあります。
同じパターンで “hit the road”(出発する)、“hit the gym”(ジムに行って本格的に運動する)など、“hit + 場所・対象” で「そこに本気で向かう」という形の表現がいくつもあります。
💡受験生向け一言メモ
“study hard” のカジュアルな言い換えとして会話文・リスニング問題に頻出です。同じ “hit” パターンの表現とセットで覚えておくと、語彙問題で見覚えのある形に出会いやすくなります。
使用例
A: I have a huge exam tomorrow, and I haven’t studied at all.
B: You’d better hit the books right now!
A: 明日大きな試験があるのに、全然勉強してないんだ。
B: 今すぐ本気で勉強した方がいいよ!
直前になって焦る気持ちは誰にでもありますが、こんな時こそ集中して取り組む姿勢が大切ですね。
a piece of cake
3問目です。
模試の感想を聞かれた友達が、自信満々にこう答えました。
That test was a piece of cake.
さて、どんな意味でしょう。
ヒント
ケーキを食べる場面を想像してみてください。ケーキを食べることは、多くの人にとってどれくらい大変な作業でしょうか。
解答
「とても簡単なこと」という意味です。
解説
ケーキを食べることは誰にとっても簡単で楽しい作業であることから生まれた表現です。日本語の「朝飯前」と発想が近く、「何かを食べる前にできてしまうくらい簡単」という考え方が、日本語では「朝食」、英語では「ケーキ」という素材の違いとして表れているのが面白いところです。
私は甘いものが苦手なので、全然簡単ではないですけどね!
💡受験生向け一言メモ
“It’s a piece of cake.” の形で会話文・空所補充問題に頻出です。“It’s easy.” の言い換え表現として覚えておくと、語句選択問題で選択肢を絞りやすくなります。
使用例
A: How was the English quiz?
B: Honestly, it was a piece of cake.
A: 英語の小テストどうだった?
B: 正直、めちゃ簡単だったよ。
得意なことに対して使うとちょっと自慢げに聞こえる表現でもあるので、使うタイミングには気をつけたいですね。
spill the beans
4問目です。
友達のサプライズパーティーを計画していたあなた。それなのに、友達はなぜかそのことを知っていた……。こんなとき、あなたはこう思うでしょう。
Someone must have spilled the beans!
どんな意味でしょうか。
ヒント
“spill” は「こぼす」、“beans” は「豆」。豆をたくさん入れた袋や容器をひっくり返してしまったところを想像してみてください。中に入っていたものが、一気にどうなってしまうでしょうか。
解答
「秘密をもらす」「うっかり話してしまう」という意味です。
解説
語源には諸説ありますが、容器の中に隠れていた豆をひっくり返してしまうと、中身が一気に外から見えるようになってしまう、というイメージから「隠していたこと(秘密)が見えてしまう」という意味につながったと考えられています。
💡受験生向け一言メモ
反対の意味になる「秘密を守る」は “keep a secret” です。対になる表現としてセットで覚えておきましょう。また、“spill” の過去形・過去分詞形は “spilled” と “spilt” どちらでもOKです。
使用例
A: How did she find out about the surprise party?
B: I don’t know, but somebody must have spilt the beans.
A: 彼女、どうしてサプライズパーティーのこと知ってたんだろう?
B: わからないけど、誰かが秘密をもらしたに違いないね。
良かれと思って話してしまったことが、結果的に台無しにしてしまうこともあります。秘密を預かるときは、ちょっとした緊張感を持っておきたいですね。
under the weather
最後の5問目です。
友達がいつもより元気がない様子です。心配して声をかけると、こう返ってきました。
I’m feeling a bit under the weather today.
さて、どんな意味でしょう。
ヒント
“weather” は「天気」。直訳すると「天気の下」ですが、ここでは天気そのものの話ではありません。何かの状態についての表現です。
解答
「気分が悪い」「体調が良くない」という意味です。
解説
この表現にはいくつかの語源説があり、その一つが船乗りに関するもので、悪天候の中、船酔いした乗組員たちが甲板の下(under the deck)に退避していたことから生まれたとも言われています。
直訳からは意味を予測しづらい慣用句の代表例で、知らないと文脈だけで意味を当てるのが難しい表現です。
💡受験生向け一言メモ
“feel sick” や “not feeling well” のやわらかい言い換えとして、Eメール問題の冒頭(体調不良で遅刻・欠席する場面)によく登場します。フォーマルな文章にも使える便利な表現です。
使用例
A: You look a little pale today. Are you okay?
B: Not really. I’m feeling under the weather.
A: 今日ちょっと顔色悪いね。大丈夫?
B: あんまり大丈夫じゃないかも。なんか調子悪いんだ。
体調がすぐれない時に、はっきり「具合が悪い」と言いづらい場合でも使いやすい、やわらかい表現です。
まとめ
今回紹介した5つの慣用句を、もう一度おさらいしておきましょう。
- Break the ice. 「緊張をやわらげる」
- Hit the books. 「(本気で)勉強する」
- Piece of cake. 「とても簡単なこと」
- Spill the beans. 「秘密をもらす」
- Under the weather. 「気分が悪い、体調が良くない」
ことわざと違って、慣用句は直訳しても意味が見えてこないものが多いのが特徴です。だからこそ、知っているかどうかで会話文・長文の理解スピードに差が出るポイントでもあります。
次回もお楽しみに。

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