前回は、準動詞シリーズの最大の難所である「不定詞と動名詞の使い分け」を学び、動名詞のすべての学習を完了しました。
今回からは、準動詞の最後の主役である「分詞」の世界へと進んでいきましょう!
学校の授業で、現在分詞(ing)や過去分詞(ed などの形)という言葉をたくさん耳にしてきたと思います。
「進行形や受動態、完了形でも ing や過去分詞を使ったけれど、それと今回の分詞は何が違うの?」
そう不思議に思う人も多いはずです。
今回は、分詞という言葉の本当の正体から、受験生の誰もが無意識にやってしまう「最大の英語の罠」の攻略法まで、シンプルに解説します。ここがわかると、英語の長文が劇的にクリアに見えるようになりますよ!
そもそも「分詞」ってなに?:形容詞に生まれ変わった動詞
まずは「分詞」という不思議な名前の正体から暴いていきましょう。
分詞とは、一言でいうと「動詞の性質を『半分』残したまま、『形容詞』に生まれ変わった言葉」のことです。
動詞の性質を「分け持った」言葉だから、分詞と呼ばれます。
第1講で学んだ形容詞の本来の役割を覚えていますか?
形容詞の仕事は「名詞を詳しく説明する(修飾する)」こと、そして「補語(C)になる」ことでした。
つまり、分詞の本質は「動詞」ではなく、名詞を飾るための「形容詞」なのです。この品詞のワープをしっかりと意識しましょう。
絶対の禁止ルール:分詞は単独で「動詞」として使えない!
分詞の学習に入る前に、すべての英語学習者が頭に叩き込んでおくべき「絶対の禁止ルール」があります。
それは、「分詞(ing や過去分詞)は、単独で文の心臓(動詞:V)として使うことは絶対にできない」というルールです。
×:I playing tennis in the park.
×:I eaten dinner.
これらは、どちらも英語として致命的な大バツになります。なぜでしょうか。
第1講や第3講の5文型でも学んだ通り、英語の1つの文には、主語(S)のほかに、時制や主語に合わせて形が変化する本物の「文の心臓(動詞:V)」が絶対に1つ必要です。
しかし、現在分詞(playing)や過去分詞(eaten)は、すでに動詞としての働きをリセットされ、形容詞にワープした後の姿です。
そのため、分詞単体には、文の心臓として機能するパワーが1ミリも残っていません。もしこれらを使って文を作りたいのであれば、次のように、時制や主語を受け持ってくれる本物の心臓(be動詞 や have)を必ず手前に補ってあげなければなりません。
○: I am playing tennis in the park. (私は公園でテニスをしている真っ最中だ = be動詞が心臓)
○:I have eaten dinner. (私は夕食を食べ終わった = haveが心臓)
分詞(ing や過去分詞)は、名詞を飾るための「おまけの形容詞」であって、単体では絶対に文の主役の動詞(V)にはなれない。
この鉄則を、まずは完璧に脳裏に焼き付けてください。
現在分詞と過去分詞の2大コアイメージ
分詞には、現在分詞(ing)と過去分詞(過去分詞形)の2つの形があります。
それぞれが名詞を飾るとき、次のような全く異なるコアイメージをまといます。
現在分詞(ing)のコアイメージ:能動・進行(〜している)
ing の本質は、進行形のときにも学んだ通り「今まさに目の前で行われている生々しい躍動感」でした。
そのため、名詞を飾るときは「(その名詞が、自分から進んで)〜している、〜している最中の」という、能動的でいきいきとした状況を表します。
【例文】 a sleeping baby (眠っている赤ちゃん)
赤ちゃんが、自分から「眠っている真っ最中(sleeping)」であることを表しています。
過去分詞のコアイメージ:受動・完了(〜されている、〜されてしまった)
過去分詞の本質は、受動態や完了形でも学んだ通り「過去の動作の影響をそのまま残した状態」です。
そのため、名詞を飾るときは「〜されている(受動)」や「(すでに)〜されてしまった(完了)」という、静かで落ち着いた状況を表します。
【例文1:受動】 a broken window (壊された窓 = 割れた窓)
窓が、誰かによって「壊された(broken)」という受け身の状態を表しています。
【例文2:完了】 fallen leaves (落ちてしまった葉 = 落ち葉)
葉っぱがヒラヒラと舞っている(falling)最中ではなく、すでに地面に「落ち終わった(fallen)」という完了の状態を表しています。
この「能動・進行の ing」と「受動・完了の過去分詞」という対比を頭に置いた上で、次回からの具体的な使われ方を見ていきましょう。
【実戦確認テスト】分詞の本質を見抜け!
学んだ分詞の定義と2大コアイメージを使って、次の3問に挑戦してみましょう。
【第1問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
Look at the ( ) bird over there.
(A) flying (B) fly (C) flown
【解答】(A)
【解説】
「向こうにいる、飛んでいる鳥を見てごらん」という意味の文です。
飾られている名詞の bird(鳥)と、fly(飛ぶ)の関係に注目しましょう。鳥が、今まさに自分から大空を「飛んでいる最中(能動・進行)」です。
したがって、能動・進行のイメージを持つ現在分詞(ing)を用いた (A) flying が正解になります。
(B) の動詞の原形は名詞を直接修飾することができず、(C) の過去分詞は完了(飛び終わってしまった)となってしまうため不自然です。
【第2問】
次の英文のうち、文法的に「誤り」があるものを1つ選びなさい。
(A) The dog is barking at the stranger.
(B) The dog barking at the stranger.
(C) That barking dog is very noisy.
【解答】(B)
【解説】
(A) は、be動詞 is という本物の「文の心臓(動詞:V)」の直後に現在分詞 barking が置かれており、進行形(その犬は見知らぬ人に吠えている)を表す正しい英文です。
(C) は、barking という現在分詞(形容詞)が、名詞 dog を前から「吠えている犬」と修飾しており、その後に is という文の本物の動詞があるため、こちらも正しい文です。
しかし、(B) は barking という現在分詞があるだけで、文の中に本物の心臓(be動詞などの動詞:V)が一切存在していません。
分詞は単独で文の動詞として使うことは絶対にできないというルールに反しているため、(B) は文法的に誤りであり、これが正解になります。
【第3問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
English is a language ( ) all over the world.
(A) speaking (B) spoken (C) speaks
【解答】(B)
【解説】
「英語は世界中で話されている言語だ」という意味の文です。
飾られている名詞の a language(言語)と、speak(話す)の関係に注目しましょう。言語という物は、自ら進んで何かを「話す(能動)」ことはできません。人によって「話される(受動)」側になります。
したがって、受動のイメージを持つ過去分詞を用いた (B) spoken が正解になります。
完成した文は、後置修飾のルールに従って、spoken 以下が後ろから a language を詳しく説明する形になります。
今回のまとめ
- 分詞:動詞の性質を残しながら、名詞を飾る「形容詞」に生まれ変わった言葉。
- 分詞の絶対ルール:現在分詞(ing)や過去分詞は単独で「文の心臓(動詞:V)」になることは絶対にできない。文を成り立たせるためには、必ず be動詞 や have などの本物の動詞が必要。
- 現在分詞(ing)の本質:能動・進行(自分から〜している真っ最中)。
- 過去分詞の本質:受動・完了(〜されている状態、すでに〜し終わった状態)。
お疲れ様でした!
「分詞=形容詞」という最大の視点と、文の動詞にはなれないという強力なルールが、英文の設計図からスッキリ納得できたでしょうか。
次回は「第32講:分詞の名詞修飾」へと進みます。形容詞にワープした分詞たちが、どのようなルールで名詞を飾るのか。不定詞の形容詞的用法でも登場した「1語なら前から、2語以上なら後ろから飾る」という英語の超重要規則に沿って、さらに詳しく解き明かしていきます。どうぞお楽しみに!
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