英語を勉強していると、「あ、これ日本語にもあるやつだ!」とか、「えっ、英語だとそういう発想になるの?」みたいな発見、ありませんか?
ことわざは、その国の文化や考え方がギュッと詰まった表現です。意味を知っているだけで読解問題がスラスラ読めるようになったり、英作文で「お、できる子だな」と思わせる一文が書けたりします。
このシリーズでは「ことわざ」「慣用句」「名言」に分けて、クイズ形式でひとつずつ紹介していきます。
今回は第1回、「ことわざ」編です。
ヒントを見てすぐ答えがわかるようなものではなく、ちゃんと考えてから答えにたどり着けるレベルにしてあるので、ぜひ頭の中で予想を立ててから答えを見てください。
それでは、5つの表現に挑戦してみましょう。
Don’t count your chickens before they hatch.
まずは1問目。
合格発表前に進学後のことばかり考えていると、こんなことを言われます。
Don’t count your chickens before they hatch.
さて、どんな意味でしょう。
ヒント
“hatch” は「孵化する」という意味です。文全体を直訳すると「卵がひよこになる前にひよこの数を数えるな」。
農場で、まだ卵の状態のものを見て「これは何羽のひよこになるかな」と数え始めている人を想像してみてください。実際に殻を破って出てくる前の段階の話です。
日本語にも、似たような「気が早すぎる」状況を表すことわざがあります。
解答
「とらぬ狸の皮算用」
「ぬか喜びするな」「まだ確定していないことを当てにするな」という意味です。
解説
まだ結果が出ていないのに、うまくいくことを前提に喜んだり計画を立てたりするな、という戒めです。日本語の「ぬか喜び」「とらぬ狸の皮算用」とほぼ同じ発想ですね。日本語では「狸の皮」、英語では「鶏の卵」というのが面白い違いです。
💡受験生向け一言メモ
英作文で使うと、「お、やるな」となる表現です。長文読解でも、登場人物の「気が早すぎる行動」への忠告として出てくることが多いので、文脈で覚えておくと得点に直結します。
使用例
A: Hey, I’m already looking at apartments near the university. I should start looking for roommates now!
B: Whoa, slow down. You haven’t even seen the results yet. Don’t count your chickens before they hatch.
A: ねえ、もう大学近くのアパート見てるんだ。今のうちにルームメイト探しておかないと!
B: おいおい、落ち着いて。まだ結果も出てないだろ。捕らぬ狸の皮算用だよ。
期待でワクワクする気持ちは分かりますが、結果が出るまでは地に足をつけておくのが大切ですね!
The grass is always greener on the other side.
2問目です。
「お前の学校、校則ゆるくて良いよな」
「いやいや、そっちだって可愛い子多くて羨ましいよ」
こんな状況を指して言う言葉です。
The grass is always greener on the other side.
少し簡単かもしれませんが、どんな意味でしょうか。
ヒント
これは比較の話であり、実際の優劣の話ではありません。日本語にも、ほぼ同じ発想のことわざがあります。
解答
「隣の芝は青い」
「他人のものは自分のものより良く見えてしまう」という意味です。
解説
直訳でも「隣の芝はいつも青く見える」となり、日本語のことわざとほぼ同じ発想・同じ比喩であるという、珍しいパターンです。多くのことわざは日本語と英語で比喩が違うのですが、これは農業や生活に身近な「芝生」という共通の素材だったために、似た表現が独立して生まれたと考えられています。
💡受験生向け一言メモ
会話表現としても頻出で、”You always think the grass is greener on the other side.” のように、誰かが今の状況に不満を持って他をうらやんでいるときに使われます。文法問題の語句整序でも狙われやすいポイントです。
使用例
A: I wish I went to a bigger university. They have so many more events.
B: You know, the grass is always greener on the other side.
A: もっと規模の大きい大学に行けばよかったな。イベントもたくさんあるし。
B: 隣の芝生は青く見えるっていうよ。
自分の持っていないものや他人の状況をうらやましく思うのは人間の性ですが、実際はどの場所にも良いところと悪いところがあるものです。今の環境の良さを改めて見つめ直してみるのもいいかもしれませんね!
Actions speak louder than words.
3問目です。
ある人が「絶対に手伝うよ」「必ず連絡するよ」と何度も口では言うのに、実際には何もしてくれない。
そんな時、あなたはこう言いたくなるでしょう。
Actions speak louder than words.
どんな意味かわかりますか?
ヒント
そういう人より、何も言わずにさっと手を貸してくれる人のほうを、私たちは信頼しますよね。そこから考えられる教えです。
日本語のことわざにはぴったりのものは無いかもしれません。
解答
「行動は言葉よりも物を言う」、つまり「言葉よりも実際の行動のほうが本当の気持ちや価値を示す」という意味です。
解説
speak louder than(~よりも大きな声で語る)という比較表現がポイントです。直訳すると「行動は言葉よりも大きな声で語る」となり、「声の大きさ」で「説得力・信頼性」を比喩しているところが英語らしい発想です。
日本語の「言うは易く行うは難し」と似ていますが、こちらは「実行の難しさ」に焦点があるのに対し、 “Actions speak louder than words” は「信用できるのは結局行動だ」という評価の話なので、ニュアンスが少し異なります。
💡受験生向け一言メモ
英作文の意見論述で、「努力の大切さ」や「リーダーシップ」について書くときの結論部分に使うと説得力が増す、受験でも使い勝手の良い一文です。
使用例
A: I promise I will finish this group project on time.
B: Just do it. Actions speak louder than words.
A: 今度のグループ課題は期限までに絶対に終わらせるよ。
B: 口だけじゃなくて行動で示して。実行は言葉に勝るからね。
どんなに立派な理想や約束を語ったとしても、それを行動で示さなければ意味がありません。人からの信頼を得るためには、言葉よりも具体的な行いが何よりも雄弁に物語るということですね。
A leopard can’t change its spots.
4問目です。
何度注意しても、毎回期限ギリギリになってから慌てて課題を提出する友達を見て、あなたがため息をつきながら言いました。
A leopard can’t change its spots.
どんな意味でしょうか。
ヒント
“leopard” は「豹(ヒョウ)」、 “spot” は「斑点」。直訳すると「ヒョウは斑点を変えられない」。
ヒョウの体には生まれつき斑点がありますが、その斑点は大人になっても、年をとっても、絶対に消えたり変わったりしません。
これは見た目の話だけでなく、もっと内側にあるものについて使われる表現です。日本語にも同じようなことわざがあります。
解答
「三つ子の魂百まで」「雀百まで踊り忘れず」
「人の本質的な性格や本性は変わらない」という意味です。
解説
日本語でも英語でも「子どもの頃からの性質は一生変わらない」という考え方ですが、日本語が「人の幼少期」を題材にしているのに対し、英語は「動物の身体的特徴」を比喩に使っているところが対照的で面白いポイントです。
💡受験生向け一言メモ
入試ではあまり見かけない表現ですが、知っているとお得です。 “spot” には「場所」「斑点」「しみ」などの意味がありますが、このことわざで “spots” となっているように、可算名詞として使います。こうしたことわざで触れておくと、記憶に残りやすくなりますね。
使用例
A: He says he will be on time for the meeting this time.
B: I doubt it. A leopard can’t change its spots.
A: 彼は今度の会議には時間通りに来るって言ってるよ。
B: どうかな。三つ子の魂百までって言うしね。
期待しすぎて裏切られることがないよう、相手の根本的な性格については少し冷静に見ることも必要かもしれませんね。
Every cloud has a silver lining.
最後の5問目です。
テストで赤点を取ってひどく落ち込んでいるあなたに、親友がこんなことを言ってきました。
Every cloud has a silver lining.
さて、何と言っているのでしょう。
ヒント
動詞の “line”(「~に裏地をつける」「~の縁(ふち)を覆う」)が動名詞になっています。
直訳すると「どの雲も、銀色の裏地(縁取り)を持っている」。空を厚い雲がおおっていて、今にも雨が降りそうな天気を想像してください。でも、その雲の縁(ふち)だけ太陽の光を受けて、銀色に光って見えることがありますよね。
解答
「どんなに悪い状況にも、必ず良い面がある」という意味です。
解説
日本語の「雲外蒼天」「災い転じて福となす」「雨降って地固まる」に近いですが、英語のほうは「悪い状況そのものの中に、最初から良い部分が隠れている」というイメージで、「結果的に良くなる」というニュアンスとは少し角度が違います。
💡受験生向け一言メモ
“silver lining” (「銀色の裏地」)という言葉自体は、ことわざ以外でも “look for the silver lining” (物事の良い面を探す)のように単体の表現として使われることが多く、英検のライティングや面接でポジティブな締めの一言として使うと印象が良くなります。
使用例
A: I failed the entrance exam and I feel so lost.
B: Don’t give up. Every cloud has a silver lining.
A: 入試に落ちて、どうすればいいか分からないよ。
B: 諦めないで。どんな雲の裏にも光は差し込んでいるものだよ。
どんなに苦しい状況や悪い出来事であっても、必ずその中には希望や良い面が隠されているという前向きな教訓です。ピンチをチャンスと捉えようとするポジティブな表現ですね。
まとめ
今回紹介した5つのことわざを、もう一度おさらいしておきましょう。
- Don’t count your chickens before they hatch. 「とらぬ狸の皮算用」「ぬか喜びするな」
- The grass is always greener on the other side. 「隣の芝は青い」
- Actions speak louder than words. 「行動は言葉よりも物を言う」
- A leopard can’t change its spots. 「本性は変わらない」
- Every cloud has a silver lining. 「どんな苦境にも良い面がある」
日本語と英語で発想が似ているものもあれば、まったく違う比喩を使っているものもあって、比べてみるとそれぞれの文化の見方が見えてきます。
長文読解や英作文の中でこうした表現に出会ったときに、「あ、あれだ」と思い出せたら、理解のスピードがぐっと上がるはずです。
次回もお楽しみに。

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