前回は、英語の表現力を一気に広げる「疑問詞+不定詞、be to 不定詞」を学びました。
今回は、いよいよ不定詞シリーズのラストを飾る「不定詞の重要表現」を完全攻略しましょう!
入試の文法問題、特に「同意文書き換え問題」や「英作文」で、最も狙われやすい重要公式を厳選しました。
単に公式を丸暗記するだけでなく、受験生が最も失点しやすい「that 節に書き換えたときに現れる、代名詞の罠」についても、仕組みから完璧に解説します。
ここをクリアすれば、不定詞の全単元はマスターとなります。最後までロジックでスッキリ理解していきましょう!
too … to の本質:とても…すぎてVできない
まずは、受験英語における最重要公式の1つである too … to からです。
【型】
<too + 形容詞/副詞 ( + for 人 ) + to + 動詞の原形>
【意味】
「(人は/にとって)あまりに…すぎてVできない」
「Vするには…すぎる」
【例文】 He is too young to drive a car. (彼はあまりに若すぎて車を運転できない / 車を運転するには若すぎる)
不定詞の意味上の主語(〜にとって)を足したいときは、to の手前に for 人 を補って、He is too young for us to believe.(彼はあまりに幼すぎて、私たちは信じることができない)のように表現します。
「so … that … cannot」への書き換え
この表現は、that 節(接続詞)を用いた表現に書き換える問題が非常によく出題されます。
【書き換えの型】
<so + 形容詞/副詞 + that + 主語 + cannot + 動詞の原形>
先ほどの例文を書き換えてみましょう。
【例文】
He is too young to drive a car. (彼はあまりに若すぎて車を運転できない / 車を運転するには若すぎる)
↓
【書き換え後】
He is so young that he cannot drive a car. (彼はとても若いので、車を運転することができない)
ここまでは、基本の書き換えパターンとして覚えている人も多いはずです。
しかし、受験で本当に合否を分けるのは、次の「目的語の復活」という落とし穴です。
【超重要】書き換え時に現れる「代名詞の罠」

次の2つの文を見比べてみてください。どちらも「このお茶は熱すぎて私には飲めない」という意味の書き換えです。
不定詞の文: This tea is too hot for me to drink.
that 節の文: This tea is so hot that I cannot drink it.
よく見ると、that 節の文の最後には、不定詞の文にはなかった「it」がくっついていますね。
なぜ that 節の方だけ、お尻に it を書かなければならないのでしょうか。
この理由は、第22講の「形容詞を修飾する不定詞のルール」と全く同じです。
不定詞の文(This tea is too hot for me to drink.)では、主語の This tea を drink の後ろに引っ越しさせると、drink this tea(お茶を飲む)という目的語の関係が成り立ちます。
このように、文の主語が不定詞の動詞の目的語になっている場合、不定詞のお尻に重複する代名詞を置いてはならない、という鉄則がありました。そのため、drink の後ろは空っぽのままにしておくのが正しい英語です。
しかし、that 節(that I cannot drink it)は、that の後ろに「主語 + 動詞」が揃った「普通の独立した文」を作らなければなりません。
普通の新しく始まった文で、I cannot drink(私は飲めない)とだけ言うと、「何を?」と聞きたくなってしまいますよね。drink は他動詞なので、何を飲むのかを示す目的語が絶対に必要です。
そのため、お茶を表す代名詞の「it」を後ろに復活させて、文を完成させなければならないのです。
この「不定詞の文ではお尻は空っぽ、that 節では it が復活する」というルールは、並べ替え問題や英作文で最も減点されやすいポイントです。必ず確認する癖をつけましょう!
… enough to の本質:Vするほど十分に…
次に、too … to と対になる、もう1つの重要公式です。
【型】
<形容詞/副詞 + enough ( + for 人 ) + to + 動詞の原形>
【意味】
「Vするほど十分に…」
「とても…なのでVする」
【例文】 He is rich enough to buy the car. (彼はその車を買えるほど十分に裕福だ / とても裕福なのでその車が買える)
【注意】語順がすべて!
この公式で絶対に間違えてはならないのが、語順です。
通常、very などの飾り(副詞)は very rich(とても裕福な)のように「形容詞の手前」に置きます。
しかし、この enough という言葉は、形容詞や副詞を飾るときは必ず「形容詞・副詞の後ろ」に置かれ、後ろから前に向かって修飾します。
rich enough(十分裕福な)や early enough(十分早く)という語順は、並べ替え問題の超定番なので、リズムで口に馴染ませておきましょう。
「so … that … can」への書き換え
この表現は、that 節を用いた次の形に書き換えることができます。
【書き換えの型】
<so + 形容詞/副詞 + that + 主語 + can + 動詞の原形>
先ほどの例文を書き換えてみましょう。
【例文】 He is rich enough to buy the car. (彼はその車を買えるほど十分に裕福だ / とても裕福なのでその車が買える)
↓
【書き換え後】
He is so rich that he can buy the car. (彼はとても裕福なので、その車を買うことができる)
こちらも、too … to と同様に、主語が後ろに引っ越すパターンのときは、that 節の方だけ最後にお尻の代名詞を復活させるルールが適用されます。
文全体を修飾する「独立不定詞」:丸暗記推奨の重要慣用表現
最後に、to 不定詞が文の頭などにポンと置かれて、慣用的に「文全体を修飾する」おまけパーツとして働く表現を紹介します。
これらは、長文読解の段落の切り替わりや、和訳問題で一文字も漏らさずに正しく訳せるかが試される「英語の決まり文句」です。
入試に出る最重要表現をまとめました。これらはイディオムとしてそのまま覚えてしまいましょう。
- to tell the truth(実を言うと)
- to make matters worse(さらに悪いことには) ※ matter(事態)を worse(より悪く)する、という直訳からきています。
- needless to say(言うまでもなく)
- to be frank with you(率直に言うと)
- so to speak(いわば、例えて言うなら)
- strange to say(奇妙なことに)
- to begin with(まず第一に、はじめに)
- to be sure(確かに、なるほど)
これらの表現は、文の骨組み(S・V・O・C)とは独立して、文の前に置かれるため「独立不定詞」と呼ばれます。
長文の中で出会ったときに、一瞬で「おまけの重要フレーズだ!」と見抜けるようにしておきましょう。
【実戦確認テスト】重要表現の罠を突破せよ!
学んだ重要公式と書き換えのルールを使って、次の3問に挑戦してみましょう。
【第1問】
次の2つの文がほぼ同じ意味になるように、( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
The box was too heavy for her to lift.
= The box was so heavy that she could not lift ( ).
(A) her
(B) it
(C) 不要(何も入れない)
【解答】(B)
【解説】
「その箱はあまりに重すぎて、彼女には持ち上げられなかった」という意味の文の書き換え問題です。
上の文は不定詞の too … to を使った文です。主語の The box を lift(持ち上げる)の後ろに引っ越しさせると、lift the box という関係が成り立つため、不定詞の文の最後は空っぽ(lift で終わり)になっています。
しかし、下の文は that 節を用いた書き換えです。that から後ろは「主語 + 動詞」が揃った独立した文にしなければなりません。 she could not lift のままでは、他動詞 lift の目的語が欠けて不完全な文になってしまいます。 そのため、主語の The box を指す代名詞の it をお尻に復活させる必要があります。
時制が過去(was)なので could not になっていることもあわせて確認しておきましょう。
したがって、(B) it が正解になります。
【第2問】
次の( )内の語句を最も適切な順序に並べ替えたとき、2番目と4番目に来るものの組み合わせを1つ選びなさい。
My brother was ( 1. study / 2. enough / 3. diligent / 4. to ) late at night.
(A) 2番目:diligent、4番目:enough
(B) 2番目:to、4番目:diligent
(C) 2番目:enough、4番目:study
【解答】(C)
【解説】
「私の兄(弟)は、夜遅くまで勉強するほど十分に勤勉だった」という意味の文を作る並べ替え問題です。
「十分に勤勉な(真面目な)」を表現するとき、enough の語順に注意します。 enough は形容詞 diligent の後ろから修飾するため、diligent enough to の順になります。
文全体を組み立てると、My brother was diligent enough to study late at night. となります。選択肢に並んでいる単語の順序は、was の後ろに、 1番目:diligent 2番目:enough 3番目:to 4番目:study となります。したがって、2番目に来るのは enough、4番目に来るのは study となり、この選択肢の組み合わせになります(問題の選択肢は並べ替えた際の単語の順を問うています)。
正しく並べ替えた英文の語順である「diligent(形容詞) + enough(十分な) + to(〜するほど)」の形を確実に作りましょう。したがって、2番目が enough、4番目が studyとなる(C)が正解です。
【第3問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
He lost his way in the heavy rain, and to ( ) matters worse, it began to get dark.
(A) do (B) make (C) keep
【解答】(B)
【解説】
「彼は大雨の中で道に迷い、さらに悪いことには、暗くなり始めた」という意味の文です。
文の途中に挿入されている to ( ) matters worse は、「さらに悪いことには、おまけに」という、事態の悪化を表す独立不定詞の超重要フレーズです。定型句として to make matters worse の形が決まっているため、動詞の make を用いた (B) make が正解になります。
今回のまとめ
- too … to
型:<too + 形容詞/副詞 + to + 動詞の原形>
意味:「あまりに…すぎてVできない」
so … that … cannot への書き換えの際、that 節のお尻には代名詞(it など)を復活させる。 - … enough to
型:<形容詞/副詞 + enough + to + 動詞の原形>
enough は必ず形容詞・副詞の「後ろ」に置く。so … that … can への書き換えができる。 - 独立不定詞
文頭などで文全体を修飾する定型表現。to tell the truth(実を言うと)、to make matters worse(さらに悪いことには)などは丸暗記しておく。
お疲れ様でした!
これで、受験英文法の最重要単元の1つである「不定詞」の学習がすべて終了しました。品詞の役割から、形、構文、そして今回の重要表現まで、すべてが一本の論理的な糸で繋がった感覚を味わえたのではないでしょうか。
次回からは、不定詞と親戚であり、ライバルでもある新しい単元「第26講:動名詞の基本」へと進みます。
「動詞が名詞に変わる」という点では不定詞の名詞的用法と同じですが、動名詞にしか表せない独特の「現実感・躍動感」のコアイメージをわかりやすく解き明かしていきます。どうぞお楽しみに!
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