前回は、名詞を後ろから修飾して具体的な中身を説明する「不定詞の形容詞的用法」を学びました。
今回は、不定詞の3つの用法の最後である「副詞的用法」を攻略しましょう!
副詞の本来の役割は、第1講で学んだ通り「名詞以外を詳しく説明する(修飾する)」ことです。主に動詞や形容詞を修飾します。
不定詞がこの副詞と同じポジションに置かれるとき、英文の状況に応じていくつかの異なるニュアンス(目的、結果、感情の原因、判断の根拠、形容詞修飾など)が生まれます。
「たくさん意味があって覚えるのが大変そう……」と不安になる必要はありません。
それぞれのニュアンスが生まれる「文の構造」と「本質的なイメージ」を整理すれば、長文の中で一瞬で見抜けるようになります。 長文読解で正確に意味を取るための超重要講義、スタートです!
副詞的用法とは?:名詞以外(動詞・形容詞)を詳しく飾る
不定詞の副詞的用法は、文の中で「おまけパーツ(修飾語:M)」として働きます。
そのため、この不定詞のカタマリを取り除いても、文の骨組み(S・V・O・C)は完全に完成したまま残ります。
修飾するターゲットによって、大きく2つのグループに分けることができます。
- グループA:動詞を修飾する(目的、結果、感情の原因、判断の根拠など)
- グループB:形容詞を修飾する(「〜する点で」という意味を足す)
それぞれのグループの本質的な見分け方と使い方を解説します。
動詞を修飾するパターン:4つの代表的な意味
動詞を飾るパターンでは、不定詞のカタマリが動詞に対して「どのような状況で行われたのか」という情報を足します。受験で狙われるのは次の4つです。
① 目的:「〜するために」(最重要)
動作を行う目的を後ろから説明する、副詞的用法の中で最もよく使われる表現です。
【文の型】
<to + 動詞の原形>
<in order to + 動詞の原形>
<so as to + 動詞の原形>
【例文】 He studied hard to pass the exam. (彼は試験に合格するために一生懸命勉強した)
勉強した(studied)という動作の「目的」が、試験に合格するため(to pass)であることを説明しています。 目的であることをよりハッキリと言いたいときは、in order to や so as to という、少しお堅い表現が使われます。これらは入試の書き換え問題でもお馴染みです。
② 結果:「(その結果)〜した」
動作を行った結果、どうなったかを時間の流れに沿って表す表現です。
「目的(〜するために)」と訳そうとすると、おかしな意味になってしまうため、受験生が最も和訳で引っかかりやすいポイントです。
【例文】 She grew up to be a famous pianist. (彼女は成長して、有名なピアニストになった)
これを「目的」のつもりで「有名なピアニストになるために、彼女は成長した」と訳してしまうと、とても不自然な日本語になってしまいますね。ピアニストになるために人間は成長するわけではありません。
「成長した(grew up)」という過去の事実があり、その「結果(to be…)」ピアニストになったのです。
結果を表す不定詞は、あらかじめ使われる動詞や表現がある程度決まっています。次の定番セットをそのまま覚えてしまいましょう。
- awake to find (目が覚めると〜だと気づく)
= wake up to find - live to be (〜歳まで生きる)
- grow up to be (成長して〜になる)
- only to + 動詞の原形 (結局〜しただけだった[残念な結果])
- never to + 動詞の原形 (そして二度と〜しなかった)
③ 感情の原因:「〜して(嬉しい/悲しい)」
感情を表す形容詞(動詞)の直後に置いて、なぜそのような感情になったのか、その「引き金(原因)」を説明するパターンです。
【例文】 I was surprised to hear the news. (私はそのニュースを聞いて驚いた)
驚いた(was surprised)という感情が湧き上がった「原因」が、ニュースを聞いたこと(to hear)であることを説明しています。
感情を表す言葉(glad, sad, happy, disappointedなど)の後ろにある不定詞は、100パーセントこの「感情の原因」になります。
④ 判断の根拠:「〜するなんて」
話し手が下した判断(〜に違いない、〜のはずがないなど)に対して、「なぜそう言えるのか」という根拠を説明するパターンです。
【例文】 He must be crazy to say such a thing. (そんなことを言うなんて、彼は正気に違いない[頭がおかしいに違いない])
彼が正気ではないという「判断(must be crazy)」を下した「根拠」が、そんなことを言うなんて(to say…)であることを説明しています。
must be(〜に違いない)や cannot be(〜のはずがない)といった強い推量を表す動詞と一緒に使われることも多いです。
形容詞を修飾するパターン:限定の魔法
次に、動詞ではなく「形容詞」を直接修飾するパターンを見てみましょう。
これは、形容詞が表す性質や状態について、「どのような点においてそうなのか」という範囲を「限定」する役割を持ちます。
【文の型】
<形容詞 + to + 動詞の原形> (〜するのに、〜するには)
【例文】 This book is easy to read. (この本は読むのが簡単だ)
簡単だ(easy)という状態が、どのような点において簡単なのかを、読むこと(to read)に範囲を限定して説明しています。
このパターン(easy, difficult, hard, dangerous, safe などの形容詞の後ろに続く不定詞)には、受験で1点差を争う「超重要ルール」が隠されています。
それは、主語と不定詞の中の動詞との関係性です。
この例文の主語である This book を、不定詞の read の後ろに引っ越しさせてみましょう。
read this book(本を読む)
このように、主語が不定詞の動詞の「目的語」になる関係(V・O関係)が美しく成り立っています。この関係が成り立っている場合、不定詞のお尻に不要な目的語を重複して置いてはいけません。
間違った英語: This book is easy to read it.
read の目的語である「it(= this book)」は、すでに文の主語(This book)として堂々と表に出ているため、お尻に it を書いてしまうと「一文の中で同じ名詞が2回繰り返される」ことになり、文法的に誤りになります。 私大の正誤判定問題や、国公立の英作文で非常に失点しやすいポイントなので、しっかりと頭に叩き込んでおきましょう。
【実戦確認テスト】副詞的用法を攻略せよ!
学んだ副詞的用法の分類と重要ルールを使って、次の3問に挑戦してみましょう。
【第1問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
The boy ran as fast as he could so ( ) to miss the train.
(A) as not (B) to not (C) as not to
【解答】(C)
【解説】
「その少年は電車に遅れないように、できるだけ速く走った」という意味の文です。動作の目的を表す表現として so as to(〜するために)があります。
第20講で学んだ通り、不定詞を否定して「〜しないために」としたい場合、否定語の not は to の直前に置くのが英語の絶対ルールです。そのため、so as to の to の直前に not を挟み込んだ<so as not to + 動詞の原形>(〜しないように)という形を作ります。
したがって、(C) as not to が正解になります。
【第2問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
He worked day and night, ( ) to ruin his health in the end.
(A) only (B) so as (C) in order
【解答】(A)
【解説】
「彼は昼も夜も働いたが、結局最後には健康を害しただけだった」という意味の文です。
昼夜を問わず働いたのは「健康を害するため(目的)」ではありません。一生懸命働いたけれども、その「結果」、健康を損ねてしまったという残念な時間の流れ(結果)を表す文脈です。
結果を表す不定詞の定番表現であり、文末に置いて「結局〜しただけだった」という残念なニュアンスを付け足す<only to + 動詞の原形>の形にするのが最も適切です。
したがって、(A) only が正解になります。
【第3問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
This river is dangerous to swim ( ) in summer.
(A) in (B) with (C) with it
【解答】(A)
【解説】
「この川は夏に泳ぐには危険だ」という意味の文です。危険だ(dangerous)という形容詞の後ろに、その範囲を限定する不定詞(to swim)が置かれています。
ここで、主語の This river を不定詞の後ろに引っ越しさせるテストを行いましょう。「川で泳ぐ」を英語にすると、swim in the river(または swim in this river)となり、中に入って泳ぐイメージの前置詞の in が絶対に必要になります。したがって、お尻に in を残す必要があります。
また、主語の This river がすでに文頭に存在しているため、お尻に代名詞の it などを重複して置く必要はありません。
したがって、(A) in が正解になります。
今回のまとめ
- 不定詞の副詞的用法は、名詞以外(動詞や形容詞など)を修飾するおまけパーツ(M)である。
- 動詞を修飾するパターンには、目的(〜するために)、結果(そして〜した)、感情の原因(〜して)、判断の根拠(〜するなんて)の4つがある。
- 形容詞を修飾するパターン(easy to read など)では、主語が不定詞の動詞の目的語になるため、お尻に重複する代名詞を置いてはならない。また、必要に応じて引っ越しテストでお尻に前置詞を残す。
これで、不定詞の3大用法のすべて(名詞的・形容詞的・副詞的用法)を完璧にマスターできましたね!それぞれの役割の違いがスッキリ繋がったはずです。
次回は、to の消える使役・知覚動詞や、to が復活する受動態など、入試の文法問題で最も狙われる例外ルール「第23講:原形不定詞」へと進みます。どうぞお楽しみに!
コメント