前回は、不定詞の少し複雑な形(否定・受身・完了形)という3つの表現方法を学びました。
今回は、不定詞の3つの用法の2つ目である「形容詞的用法」をマスターしましょう!
形容詞の本来の役割は、第1講で学んだ通り「名詞を詳しく説明する(修飾する)」ことです。
不定詞がこの形容詞と同じ役割をするとき、日本語の感覚とは大きく異なる、英語ならではの重要なルールが登場します。
受験生が英作文や和訳問題で最も間違えやすい「前置詞の有無」の秘密のルールを、わかりやすく解き明かします!
不定詞の形容詞的用法とは?:後ろから飾るのが英語のルール
英語の形容詞的用法を学ぶときに、まず最初に頭に入れるべき鉄則があります。
それは「必ず名詞の後ろに置いて、後ろから前に向かって飾る」ということです。文法用語ではこれを「後置修飾(こうちしゅうしょく)」と呼びます。
日本語と英語を並べて比べてみましょう。
- 日本語:読むべき本
→ 飾る言葉(読むべき)が、名詞(本)の「前」にあります。 - 英語: a book to read
→ 飾る言葉(to read)が、名詞(a book)の「後ろ」にあります。
【文の型】
<名詞 + to + 動詞の原形>
なぜ英語ではわざわざ後ろに置くのでしょうか。
英語には「2語以上の長い飾りは、名詞の後ろに置く」という強力なルールがあるからです。
to read は to と read の2つの単語が集まったカタマリなので、飾られる名詞である a book の後ろにポンと置かれるのです。
この「後ろから前に向かって矢印を伸ばして飾る感覚」をしっかりと身につけましょう。
受験生の最大の壁:お尻に「前置詞」が必要なとき

形容詞的用法において、大学入試や定期テストで最も狙われる超重要テーマがあります。それは、不定詞の後ろに「前置詞」が必要かどうかという問題です。
次の2つの表現を見てください。
- ×:a friend to talk
○:a friend to talk with(話すための友達) - ×:a house to live
○:a house to live in(住むための家)
なぜ後ろに with や in という前置詞が必要なのでしょうか。これを見分けるための、絶対に間違えない「魔法の確認方法」があります。
それは、飾られている名詞を「不定詞の動詞の後ろに引っ越しさせて、普通の文を作ってみる」という方法です。
実際にやってみましょう。
① a friend to talk with の場合
飾られている名詞の friend を、動詞の talk の後ろに引っ越しさせて「友達と話す」という文を作ってみます。
talk a friend
これでは英語として不自然です。talk は自動詞なので、直後に名詞を置くことができません。 正しくは、
talk with a friend
となります。
この引っ越しテストをしたときに「with が絶対に必要」ということは、不定詞の形に戻したときにも、お尻に with を絶対に残さなければならない、ということです。
だから、a friend to talk with が正しい形になります。
② a house to live in の場合
同じように、名詞の house を、動詞の live の後ろに引っ越しさせて「家に住む」という文を作ってみます。
live a house
これも不自然です。正しくは、
live in a house
となります。
引っ越しテストで in が必要だったということは、不定詞にするときもお尻に in を残して、 a house to live in としなければならないのです。
③ a book to read の場合
一番最初に出した a book to read(読むべき本)はどうでしょうか。
名詞の book を、動詞の read の後ろに引っ越しさせて「本を読む」という文を作ってみます。
read a book
こちらは前置詞がなくても、バッチリ文が成り立ちますね。
このように、引っ越しテストをしたときに前置詞が不要なものは、不定詞にするときもお尻に前置詞は要りません。
英作文で「前置詞が必要かな?」と迷ったら、必ずこの「引っ越しテスト」を行って、お尻に残すべき前置詞を正確に見極めましょう。
名詞と不定詞の「3つの関係性」
長文読解をスムーズに進めるために、名詞と後ろの不定詞の間には、次の「3つの関係性(絆)」があることを知っておきましょう。
この関係性を意識すると、英文の意味がスッと脳内に入ってくるようになります。
① 主語 + 動詞の関係(S・V関係)
飾られている名詞が、不定詞の動作を「実際に行う主語」になっている関係です。
【例文】 I need a classmate to help me. (私を手伝ってくれる同級生が必要だ)
名詞の classmate(同級生)が、私を「手伝う(help)」という関係が成り立っています(同級生が手伝う = S・V関係)。
② 動詞 + 目的語の関係(V・O関係)
飾られている名詞が、不定詞の動作を「受ける目的語」になっている関係です。先ほど紹介した引っ越しテストが使えるのは、すべてこのグループです。
【例文】 I have a lot of homework to do. (やるべき宿題がたくさんある)
宿題を後ろに引っ越すと「do homework(宿題をやる)」となり、動詞と目的語の関係になっていることがわかります。
③ 同格(イコール)の関係
飾られている名詞が「具体的な内容」を必要とする名詞(抽象名詞)であり、後ろの不定詞がその中身を説明している関係です。
主に、ability(能力)、decision(決定)、promise(約束)、way(方法)などの名詞の後ろによく使われます。
【例文】 She made a promise to study hard. (彼女は一生懸命勉強するという約束をした)
promise(約束)の具体的な中身が「一生懸命勉強すること(to study hard)」であり、両者がイコールの関係(同格)になっています。
【実戦確認テスト】形容詞的用法を攻略せよ!
学んだルールを使って、次の3問に挑戦してみましょう。
【第1問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
We are looking for a house to live ( ).
(A) in (B) at (C) 不要
【解答】(A)
【解説】
「私たちは住むための家を探している」という意味の文です。飾られている名詞の a house を、不定詞の動詞 live の後ろに引っ越しさせて考えてみましょう。「家に住む」を英語にすると、live in a house となり、場所を表す前置詞の in が必要になります。したがって、不定詞にしたときもお尻に in を残す必要があるため、(A) in が正解になります。
【第2問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
Please give me something to write ( ). I want to take some notes.
(A) to (B) with (C) on
【解答】(C)
【解説】
「メモを取りたいので、何か書くものをください」という意味の文です。後ろの文で「メモを取りたい(ノートを取りたい)」と言っていることに注目しましょう。もしペンなどの「書く道具」が欲しいのであれば、道具を表す with を使って write with something(何かを使って書く)と引っ越しできますが、今回の状況で欲しいのは「書くための紙やノート」です。「紙(何か)の上に文字を書く」という関係になるため、上に乗せるイメージのある前置詞の on を使って、write on something と引っ越しテストをするのが適切です。したがって、お尻に on を残した (C) on が正解になります。
【第3問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
He lost the ability ( ) others.
(A) to trust (B) trust (C) trusted
【解答】(A)
【解説】
「彼は他人を信じる能力を失った」という意味の文です。ability(能力)という名詞の後ろに置いて、その具体的な中身「他人を信じる(能力)」を説明するカタマリを作りたい場面です。名詞を後ろから修飾して同格の関係を作ることができるのは、不定詞の形容詞的用法です。不定詞の基本構造である<to + 動詞の原形>の形をした (A) to trust が正解になります。
今回のまとめ
- 不定詞の形容詞的用法は、名詞を後ろから前に向かって修飾する。基本の型は<to + 動詞の原形>。
- 不定詞の後ろに前置詞が必要かどうか迷ったら、「名詞を動詞の後ろに引っ越しさせるテスト」を行い、必要な前置詞をお尻に残す。
- 名詞と不定詞の間には、主語と動詞の関係(S・V関係)、動詞と目的語の関係(V・O関係)、内容を説明する同格の関係の3つがある。
これで、形容詞的用法の仕組みと、受験生が最も苦手とする前置詞の使い分けもバッチリ攻略できましたね!
次回は、不定詞の3つの用法の最後である「第22講:不定詞の副詞的用法」へと進みます。
「名詞以外(動詞や形容詞など)を修飾する」という副詞の役割を不定詞がどのように果たすのか、「目的」や「結果」、「感情の原因」など、入試の長文読解で合否を分ける重要ポイントをスッキリと整理していきます。どうぞお楽しみに!

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