今回から、英文法のなかでも長文読解や英作文の主役となる「準動詞」のグループに入ります!
最初のテーマは、みなさんもよく知っている「不定詞」です。
学校では、不定詞の形は「to + 動詞の原形」で、名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法の3つがあると習いますよね。
そして「〜すること」「〜するための」「〜するために」と、それぞれの訳し方を必死に暗記させられたはずです。
しかし、なぜ1つの「to + 動詞の原形」が、名詞になったり形容詞になったり副詞になったりするのでしょうか。
そして、そもそも「不定詞」という名前にはどんな意味があるのでしょうか。
今回は、不定詞という言葉の本当の意味と、動詞が名詞にワープして働く「名詞的用法」の本質を、シンプルに解説します!
そもそも「不定詞」ってどういう意味?
まずは、この不思議な名前の正体から暴いていきましょう。
「不定詞」とは、漢字の通り「役割が1つに定まっていない言葉」という意味です。
第1講で、私たちは英単語にはそれぞれ名詞、形容詞、副詞といった役割(ポジション)が決まっていることを学びました。
ところが、この不定詞(to + 動詞の原形)は、文の中の置かれる場所によって、名詞の役割をしたり、形容詞の役割をしたり、副詞の役割をしたりします。
つまり、状況に応じてポジションを変える「マルチプレイヤー」なのです。役割が1つに定まっていないから、不定詞と呼ばれます。
そして、もう1つ大切なイメージがあります。
不定詞で使われる「to」の本質は、方向を指し示す「右向きの矢印(これから向かう先)」です。
そのため、不定詞は全体として「これから先のこと(未来志向)」というニュアンスを常にまとっています。
この矢印のイメージは、これからの学習で非常に強力な武器になるので、ぜひ頭の片隅に置いておいてくださいね。
名詞的用法の本質:「〜すること」

今回は、マルチプレイヤーである不定詞が、文の中で「名詞」として働く「名詞的用法」を攻略します。
名詞として働くということは、訳し方はすべて「〜すること」になります。そして、第1講で学んだ名詞の超重要ルールを覚えていますか?
名詞は、文の骨組みである「主語(S)」「目的語(O)」「補語(C)」になります。
つまり、不定詞の名詞的用法(to + 動詞の原形)も、名詞と全く同じように、主語、目的語、補語のポジションにすっぽりと収まります。
それぞれのパターンを確認してみましょう。
パターン①:主語(S)になる(〜することは)
文の主人公のポジションに、不定詞のカタマリを置く形です。
To study English is important. (英語を勉強することは重要だ)
この文では、To study English という3語のカタマリ(第2講で学んだ名詞句です!)が、文全体の主語(S)になっています。主語になれるのは名詞だけなので、これは名詞的用法です。
パターン2:目的語(O)になる(〜することを)
動詞のターゲット(何に)のポジションに、不定詞のカタマリを置く形です。
I want to play soccer. (私はサッカーをしたい = サッカーをすることを欲している)
この文では、動詞 want(〜を欲する)の後ろに、to play soccer(サッカーをすること)という目的語(O)が置かれています。目的語になれるのも名詞だけなので、これも名詞的用法になります。
パターン3:補語(C)になる(主語 = 〜すること)
主語とイコールの関係になる補語のポジションに、不定詞のカタマリを置く形です。
My dream is to be a doctor. (私の夢は、医者になることだ)
主語の My dream(私の夢)と、to be a doctor(医者になること)の間に、「夢 = 医者になること」という完璧なイコールの関係が成り立っています。イコールで繋ぐ補語(C)になれるのは名詞(または形容詞)だけ、かつ「~すること」と訳せるため、これも名詞的用法です。
なぜ「動詞の原形」に to をつけるだけで名詞になれるの?
なぜ動詞をそのまま主語や目的語にせず、わざわざ to をつけるのでしょうか。
実は、英語では「1つの文に、動詞(心臓)は原則として1つだけ」という鉄のルールがあります。
もし、To studied … や To studies … のように過去形や三人称単数の s がついた動詞を使ってしまうと、それが「文の心臓(V)」なのか、それともただの「名詞のカタマリ」なのかが分からなくなってしまいます。
そこで、動詞としての心臓の働き(時制や主語に合わせた変化)を一度リセットするために、動詞の本来の姿である「原形」を使います。
そして、その手前に「to」という看板を立てることで、「これは本物の動詞(V)ではなく、これから向かう動作のイメージを表すカタマリですよ!」と周囲にアピールしているのです。
だからこそ、不定詞は必ず「to + 動詞の原形」という形になります。
【実戦確認テスト】名詞のポジションを見抜け!
学んだ品詞のルールと不定詞の名詞的用法を使って、次の3問に挑戦してみましょう。
【第1問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
Our plan is ( ) a new website next month.
(A) launch (B) to launch (C) launched
【解答】(B)
【解説】
文の骨組みを確認します。Our plan が主語(S)「私たちの計画は」、is が動詞(V)です。
「私たちの計画 = 新しいウェブサイトを立ち上げること」というイコールの関係(補語:C)を作りたい文脈です。補語(C)になれるのは名詞or形容詞なので、「〜すること」という意味を作る不定詞の名詞的用法である (B) to launch が正解になります。
(A) の動詞の原形をそのまま置くことは、be動詞(is)と一般動詞(launch)が並んでしまうため文法的に不可能です。
【第2問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
( ) a lot of books is very useful for your future.
(A) To read (B) Read (C) Reads
【解答】(A)
【解説】
文の後半に is very useful(とても役に立つ)という「動詞(V)+ 補語(C)」があります。
つまり、空所から books までのカタマリ全体が、文全体の「主語(S)」になる必要があります。主語になれる品詞は名詞だけなので、「たくさんの本を読むこと」という主語(名詞句)を作るために、不定詞の (A) To read が正解になります。
(B) の命令文や (C) の三人称単数の動詞を文頭に置いて主語にすることはできません。
【第3問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
He decided ( ) a new car because his old one broke down.
(A) buy (B) bought (C) to buy
【解答】(C)
【解説】
He が主語(S)、decided が動詞(V)「〜を決めた」です。
「何を」決めたのかという、動詞 decide の目的語(O)となる名詞のカタマリが空所に入ります。目的語になれるのは名詞なので、「新しい車を買うこと(を決めた)」という目的語を作るために、不定詞の名詞的用法である (C) to buy が正解になります。
decide は後ろに目的語として不定詞(to + 動詞の原形)のみを置くことができる超重要動詞です。
今回のまとめ
- 不定詞(to + 動詞の原形)の本質は、文の中での役割が定まっていない「マルチプレイヤー」。
- 不定詞の to は「右向きの矢印(これから先のこと)」。
- 不定詞の名詞的用法は、普通の「名詞」と全く同じように、文の中で「主語(S)」「目的語(O)」「補語(C)」のポジションに収まり、「〜すること」と訳す。
これで不定詞の第一歩はバッチリです!
次回は、今回学んだ主語(S)や目的語(O)のパターンから発展し、長いカタマリを後ろに逃がす英語の超重要システム「第17講:形式主語・形式目的語構文」をお届けします。
「なぜ it を置いて、to 以下を後ろに回すの?」という理由をスッキリ解説します。どうぞお楽しみに!
コメント