今回から、英文法の中でも超重要テーマである「受動態(受け身)」の表現に入ります!
学校で受動態は「be動詞 + 過去分詞」で「〜される」と訳すと習いますよね。
そして、「能動態の主語を後ろに持っていって、目的語を主語にして……」という書き換えパズルを何度も練習させられたはずです。
しかし、なぜわざわざこんなに面倒くさい書き換えを行うのでしょうか。
「わざわざ受け身にしなくても、元の文のままでいいじゃん!」と思ったことはありませんか?
実は、英語を話す人々が受動態を使うのには、どうしても使わなければならない「深い理由(本質)」があります。今回は、受動態の本当の必要性と、受験生を毎年悩ませる「複雑な形」の攻略法を世界一シンプルに解説します!
受動態の本質は「視点を変えるカメラワーク」

受動態(be動詞 + 過去分詞)の本質は、話し手の「カメラのピント(視点)」をどこに合わせるか、というカメラワークです。
普通の文(能動態:〜する)は、主語である「行為者」にカメラのピントが合っています。
これに対して、受動態は、動作を受ける側の「物や人」にカメラをズームしている状態です。
次の2つの文を比べてみましょう。
- 能動態: Tom broke the window. (トムがその窓を割った)
- 受動態: The window was broken by Tom. (その窓はトムによって割られた)
文1のカメラが映している主役は、トムです。トムがガシャーンと窓を割ったアクションそのものにピントが合っています。
一方、文2のカメラが最初に映している主役は、窓(The window)です。トムはどうでもよくて、「割れてしまっている窓の今の悲惨な状態」にスポットライトが当たっています。
このように、英語は「最初に言う言葉(主語)」に最も強いスポットライトを当てる言語です。
動作をした人ではなく、動作をされた物や人に注目して話を始めたいとき、受動態というカメラワークの切り替えが必要になるのです。
なぜ「by 〜」は省略されることが多いの?
学校ではよく「by 〜(誰々によって)」を受動態の文の最後にくっつけると習いますが、実際の長文を読んでいると、byが書かれていない文の方が圧倒的に多いことに気づくはずです。
なぜなら、受動態を使うときのほとんどは、次の3つの理由で「誰がやったか(行為者)を言う必要がないから」です。
理由①:誰がやったのかわからない
The bank was robbed yesterday. (昨日、銀行が襲われた)
→ 犯人が誰かはわからないので by … は書けない
理由②:誰がやったのか言わなくても当たり前
English is spoken in Australia. (オーストラリアでは英語が話されている)
→ 話しているのは人間なのが当たり前なので by people は省略される
理由③:誰がやったかを隠したい、重要ではない
The chocolate was eaten. (チョコレートが食べられちゃった)
→ 食べたのは自分だけど、怒られたくないから「犯人」を隠して状況だけを伝えている
このように、byの後ろは「言わなくてもわかること」や「わからないこと」が多いため、現実の英語では省略されるのが普通なのです。
受動態の基本形:なぜ「be動詞 + 過去分詞」なの?
受動態の形は、必ず「be動詞 + 過去分詞」になります。なぜこの2つが合体しているのでしょうか。
be動詞の本質は、第1講や第3講(5文型)で学んだ通り「イコール(=)で繋ぐこと」でした。 過去分詞の本質は、動詞から変化して「〜されてしまっている状態(受け身・完了)」を表す形容詞のようなものです。
この2つを合体させると、
主語 = 〜されてしまっている状態
という、完璧なイコールの関係が完成します。
【例文】 The computer is fixed.
そのコンピュータ
= 修理された状態である
= 修理されている
このように、主語がどういう状態にあるのかをイコールで説明しているだけなので、「be動詞 + 過去分詞」という形になるのはごく自然なことなのです。
合否を分ける!「進行形・完了形」の受動態パズル
入試で非常に得点差がつくのが、進行形や完了形と、受動態がドッキングした複雑な動詞の形です。
「be being 過去分詞」や「have been 過去分詞」など、呪文のように暗記しようとすると必ずミスをします。 ここでも、パーツのパズルとして論理的に理解しましょう。
パターン①:進行形 + 受動態(今まさに〜されている真っ最中)
- 進行形:be動詞 + 動詞のing形(真っ最中)
- 受動態:be動詞 + 過去分詞(される)
この2つを縦に重ねて、重なる部分を合体させます。
[be + ing] + [be + 過去分詞]
↓
be + being + 過去分詞
重なる部分のbe動詞をing形にするので、必ず「being」という形が生まれます。
【例文】 My car is being repaired now. (私の車は今、修理されている真っ最中だ)
パターン②:完了形 + 受動態(すでに〜されてしまっている)
- 完了形:have + 過去分詞(矢印)
- 受動態:be動詞 + 過去分詞(される)
同じように重ねて合体させます。
[have + 過去分詞] + [be + 過去分詞]
↓
have + been + 過去分詞
重なる部分のbe動詞を過去分詞にするので、必ず「been」という形が生まれます。
【例文】 The rooms have already been cleaned. (部屋はすでに掃除されてしまっている)
暗記に頼らず、進行形ならbeing、完了形ならbeenが挟まれるという仕組みを頭の中で組み立てられるようにしておきましょう!
【実戦確認テスト】カメラワークの本質を見抜こう!
学んだ受動態の本質を使って、次の3問に挑戦してみましょう。
【第1問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
Our house ( ) painted right now, so please be careful of the wet wall.
(A) is (B) is being (C) has been
【解答】(B)
【解説】
文の後半に「今まさに(right now)」、「濡れた壁に気をつけてください」とあります。つまり、「私たちの家が、今まさにペンキを塗られている真っ最中である」というリアルタイムのライブ感(進行形)を表す必要があります。
進行形(be + ing)と受動態(be + 過去分詞)を合体させた「be being 過去分詞」の形にする必要があるため、(B) is being が正解になります。
(A) だと「ペンキを塗られている(いつの話か曖昧)」となり、(C) は完了形なので「すでに塗り終わっている(だから壁は乾いているはず)」となり、後ろの文脈と矛盾してしまいます。
【第2問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
The report must ( ) to the teacher by next Monday.
(A) submit
(B) be submitted
(C) have submitted
【解答】(B)
【解説】
主語は「The report(そのレポート)」です。 レポートという物は、自分の意志で「提出する(submit)」という動作をすることはできません。人によって「提出される」側です。 したがって、受動態(be + 過去分詞)にする必要があります。また、手前に助動詞 must(しなければならない)があるため、助動詞の後ろは「動詞の原形」にするというルールから、be動詞が原形の be になっている (B) be submitted が正解になります。
【第3問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
Since the company went bankrupt, all the employees ( ).
(A) have fired
(B) were firing
(C) have been fired
【解答】(C)
【解説】
文の最初に「その会社が倒産したので」とあります。 倒産した結果、すべての従業員(all the employees)は「クビにされた(fireされた)」側になります。従業員が誰かをクビにした(能動態)わけではないので、受動態の表現を選ばなければなりません。
(A) は現在完了の能動態(自分たちが誰かをクビにした)、(B) は過去進行の能動態(クビにしている真っ最中だった)なのでどちらも意味が通りません。「すでにクビにされてしまった(完了)」という受動態を表す (C) have been fired が正解になります。
今回のまとめ
- 受動態(be + 過去分詞)の本質は、動作をされる側にピントを合わせる「カメラワークの切り替え」。
- by 〜 が省略されるのは、実行者がわからないときや、重要ではないとき。
- 進行形の受動態:be being 過去分詞(〜されている真っ最中)
- 完了形の受動態:have been 過去分詞(すでに〜されてしまっている)
受動態をただの呪文ではなく、話し手の視点を表すとても論理的なツールとして捉えられるようになれば、長文読解がさらにスムーズになります!
次回は、受動態の知識を応用し、入試の書き換え問題で最も点数に差がつく応用テーマ、「第14講:第4、第5文型の受動態」をお届けします。
あの複雑に見える文型が受動態になるとどう変化するのか、設計図のルールに従ってすっきりと解き明かします。どうぞお楽しみに!

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