助動詞の後ろに have + 過去分詞 がくっついた形を見て、暗記するものが多くて嫌だなと思ったことはありませんか?
should have 過去分詞は「〜すべきだったのに」、must have 過去分詞は「〜したに違いない」……。
もし丸暗記しようとしているなら、今すぐやめましょう。
なぜこの形が生まれるのか、その本質がわかれば、すべての表現がたった1つのルールで繋がります。
今回は、助動詞と完了形が合体する本当の理由を解き明かし、入試で必ず狙われる超重要表現をわかりやすく解説します!
なぜ「助動詞 + have + 過去分詞」にするの?

まずは、なぜこのような複雑な形が生まれるのか、その理由から考えていきましょう。
結論から言うと、この形を使う理由は「過去のことを言いたいけれど、助動詞を過去形にできないから」です。
例えば、「彼は今、疲れているに違いない」と言いたいときは、第10講で学んだ must の「高い圧力(強い確信)」を使って次のように言います。
He must be tired now.
では、時間を過去にズラして、「彼は(昨日)疲れていたに違いない」と言いたいときはどうすればいいでしょうか。
「過去のことだから、must を過去形にすればいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、must には過去形がありません。
また、should(すべきだ/shallの過去形)や might(かもしれない/mayの過去形)のように、形の上では過去形になっている助動詞もありますが、これらは「現在のこと」を控えめに言うとき(または仮定法)にも使われるため、形を変えるだけでは「過去のこと」だとハッキリ伝えることができません。
さらに、助動詞の直後は「動詞の原形」にするという鉄のルールがありましたね。
助動詞の後ろにそのまま過去形の動詞(was など)を置くことは絶対に不可能です。
そこで、英語を話す人々は素晴らしいアイデアを思いつきました。
助動詞の後ろに、時間を1つ過去にズラす魔法のパーツ(have + 過去分詞)を合体させよう!
第6講と第7講で、完了形(have)の本質は「過去からビュンと伸びる矢印」だと学びました。
助動詞の後ろに have + 過去分詞 を置くことで、助動詞の直後は原形(have)というルールを守りながら、「これは過去についての話だよ」という時間のズレを表現しているのです。
この本質がわかると、すべての表現の意味がすんなり納得できるようになります。
入試超頻出!「過去を振り返る」4つの最重要表現
それでは、受験英語で毎年必ず出題される4つの表現を、それぞれのコアイメージとセットで押さえましょう。
① should have + 過去分詞:「当然そちらへ進む」+「過去の矢印」
should の本質は「当然そちらの方向に進むべきだ」でした。これに過去の矢印が合体します。
意味:〜すべきだったのに(実際はしなかった)
本来なら、当然過去にその行動を選ぶべきだったのに、実際には選ばなかったという「後悔」や「非難」を表します。
【例文】 I should have studied harder last night.
私は昨日の夜、もっと一生懸命勉強すべきだったのに
= 実際はしなかったという後悔
② must have + 過去分詞:「高い圧力」+「過去の矢印」
must の本質は、逃げ道のない「強烈な圧力(強い確信)」でした。
意味:〜したに違いない
過去の出来事に対して、100パーセントそうだったはずだと、話し手の中で強い確信の圧力がかかっている状態です。
【例文】 She must have arrived at the station by now.
彼女は今ごろ、駅に到着したに違いない
= 過去から今にかけて到着したはずだという強い確信
③ cannot have + 過去分詞:「いつでも出せる力(の否定)」+「過去の矢印」
can の本質は「いつでも出せる力(可能性)」でした。cannot はそれがゼロ(あり得ない)ということです。
意味:〜したはずがない
過去にその出来事が起こった可能性が100パーセントあり得ない、と強く否定している状態です。must have の反対の意味になります。
【例文】 He cannot have told such a lie.
彼がそんな嘘をついたはずがない
= 嘘をつく可能性は絶対にあり得ないという強い確信
④ may [might] have + 過去分詞:「壁がない」+「過去の矢印」
may の本質は、行く手を遮る壁がない「オープンな状態(控えめな推量)」でした。
意味:〜したかもしれない
過去にそうだったかもしれないし、そうじゃなかったかもしれない。どちらに進むのにも壁がない、控えめな推量を表します。might を使うと、さらに控えめ(〜だったかもしれないなぁ)になります。
【例文】 I may have left my umbrella in the classroom.
私は教室に傘を忘れたかもしれない
= 忘れた可能性も十分にあり得るという弱い推量
【実戦確認テスト】時空のズレを見抜こう!
学んだ助動詞+完了形の本質を使って、次の3問に挑戦してみましょう。
【第1問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
I am very sorry. I ( ) you earlier, but I forgot.
(A) should call
(B) should have called
(C) must call
【解答】(B)
【解説】
文の後半に「忘れました(forgot = 過去形)」とあります。つまり、「もっと早くあなたに電話するべきだった(のに実際はしなかった)」という、過去についての後悔や謝罪を伝えている文です。過去への後悔(〜すべきだったのに)を表すため、should の後ろに時間をズラす have + 過去分詞 を繋げた (B) should have called が正解になります。
(A) や (C) のような助動詞+動詞の原形は、現在の義務やアドバイスになってしまうため、文脈に合いません。
【第2問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
The street is very wet. It ( ) during the night.
(A) must rain
(B) must have rained
(C) cannot have rained
【解答】(B)
【解説】
最初の文で「道路がとても濡れている」と現在の状況を述べています。道路が濡れているということは、それに先立つ過去(夜の間)に「雨が降ったに違いない」という強い確信があるはずです。夜の間という過去の出来事に対する強い確信を表すため、(B) must have rained が正解になります。
(A) は現在の話(今、雨が降るに違いない)になってしまい、(C) は「雨が降ったはずがない」という逆の意味になってしまいます。
【第3問】
次の( )に入れるのに最も適切なものを1つ選びなさい。
She is usually very punctual. She ( ) the train.
(※ punctual = 時間を守る、几帳面な)
(A) cannot have missed
(B) must have missed
(C) should have missed
【解答】(A)
【解説】
「彼女はいつも時間をきっちり守る人だ」という前提があります。そんな彼女が「電車に乗り遅れたはずがない」と、過去の出来事に対して強い否定の確信を持っている文です。過去の事実に対する強い否定(〜したはずがない)を表すため、(A) cannot have missed が正解になります。
今回のまとめ
- 助動詞 + have + 過去分詞 の本質は、助動詞の直後は原形というルールを守りつつ「過去のこと」を語るための魔法の形。
- should have + 過去分詞 = 〜すべきだったのに(実際はしなかったという後悔・非難)
- must have + 過去分詞 = 〜したに違いない(過去の強い確信)
- cannot have + 過去分詞 = 〜したはずがない(過去の強い否定の確信)
- may have + 過去分詞 = 〜したかもしれない(過去の控えめな推量)
助動詞に完了形がくっつく理由がわかれば、ただの呪文に見えた英語が、話し手の心の時間を表すとても論理的なシステムであることが実感できたはずです!
次回は、助動詞シリーズの締めくくりとして、受験生の正誤問題や英作文の得点源になる「第12講:その他の助動詞、助動詞の重要表現」をお届けします。どうぞお楽しみに!

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